2024.11.25 11:52高清水 20回連続金賞受賞記念酒 加藤均 寄稿「高清水」加藤均杜氏の20回連続金賞受賞記念酒、その記念冊子にエッセイを寄稿しています。「高清水」は、私が小さい頃から台所にあった日本酒です。秋田県秋田市は、その小さな範囲でもさまざまな日本酒があり、地縁と人の縁から家庭の定番が決まっています。で、うちは高清水。まだ「地酒」なんて言葉もなかった時代。時代は目まぐるしく変わり、日本酒蔵は絶体絶命期を経て、今再び自分を取り戻し愛されるお酒になってきました。その立役者として、新世代の蔵元・杜氏が注目されています。秋田に帰る度に感じるのは、伝統も革新もあたりまえに混在している有り難さです。そんななか、加藤均さんと、彼ら御所野蔵が造る「高清水」にはスタンダードの品格を感じます。これは難しいこと。目新しさに飛びつか...
2024.08.09 09:58京都「たつみ」/Meets Regional関西の「街と店」を楽しむ雑誌、Meets Regionalさん。特集「みんなの居酒屋」で、京都の「たつみ」を書かせてもらっています。おそらくお店の人は、井川直子なんてご存じない。挨拶もしたことがない。勝手にふらっと行って、すっと帰る居酒屋です。原稿執筆の直前に、鳥取の汽水の湖に行っていたので、多分に汽水フレーバーな原稿となっております。
2024.07.30 09:55寺尾紗穂さん「わたしの手帖」/暮しの手帖『暮しの手帖』最新号、寺尾紗穂さんの「わたしの手帖」を書いています。敬愛する大沼ショージさんの写真です。寺尾さんはピアノの弾き語り、草花の寄せ植え、文筆活動ほかさまざまに行動されながら、3人の娘さんをもつお母さんでもある方です。お仕事の依頼があったのは、母を亡くしたばかりの時でした。秋田の葬儀から帰京して、普段の生活に戻り、寺尾さんの歌「あの日」をバスの中で聴いた時。いつの間にか涙が出ていて困りました。歌の中のシチュエーションとは違うんだけど、なんでだか。掲載誌が届いたら、これまた母が愛していた、いわさきちひろさんの絵が表紙でちょっとびっくり。母は、今もともに生きている。そんな感覚に救われています。
2024.07.26 09:44温泉と野菜/デイリーブルータスBRUTUSのウェブマガジン「デイリーブルータス」。「温泉と野菜」3軒のうち、別府と伊豆高原を書いています。野菜って、思った以上にアグレッシブな食材。可能性無限です。
2024.07.20 06:43インディペンデントな映画館と書店のある街へミニシアターよりもっと小さな、マイクロシアターと呼ばれる映画館に萌えています。きっかけは、赤い鉄柵の階段があるアパートの203号室が、映画館になっている「シネマ203」を知ったことでした。こんな映画館、あり?ありなんだ!と知った時の興奮。調べてみると、日本のあちこちにいつの間にか増えていた!なかでも、旧小学校の図工室をリノベーションした鳥取の「ジグシアター」の、ごろんとなりたい(なれる)ソファの誘惑たるや。こんな空間で、こんなふうに映画観てみたかった!という、眠れる願望が揺り起こされてざわざわが止まりません。私は自分の部屋で、すっぴんにパジャマで観る動画配信も大好きですが、映画館というパブリックだから得られる集中と高揚があり、さらにマイクロな映画館には...
2024.06.25 06:59Ristorante Hideki Nakagawa/あまから手帖『あまから手帖』は神戸特集。私は「Ristorante Hideki Nakagawa」を書きました。シェフの中川英樹さんは『イタリアに行ってコックになる』(2003年刊行)のイタリア現地取材で出会った料理人。当時の彼はピエモンテ州アルバの「エノクラブ」という伝統料理店で修業中でした。いきなり日本から「取材させてほしい。本になるとか、先のことはわかりません」という国際電話をかけてきた、見知らぬ日本人を信用してくれて、ここからイタリアでの取材が始まったんです。中川さんはその後、イタリアの様々な土地で学び、イスラエルでお抱え料理人、京都でオーナーシェフ、再びイタリアに戻って美しいヴィッラのシェフとなり、永住するつもりが、家族ができて東京へ。そして昨年、神戸...
2024.06.06 05:55dancyu7月号、連載と特集と鼎談とdancyu7月号、テーマは「ひとりでも居心地のいいおいしい店ガイド」です。ひとりで外食するのはちょっとドキドキだけど、楽しんでみたい気持ちもある人に向けての特集。と聞いて、そうか、ひとりで外食するってあんまり普通じゃないのか、としみじみした私のところに鼎談のご依頼がありました。ひとりで食べる人代表みたいで照れますが、『東京最高のレストラン』(ぴあ)の編集長・大木淳夫さん、「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔さんとおしゃべりしてきました。ひとり食べの世界って千差万別。「仕方ないひとり」じゃなくて、積極的かつ本能的にひとりを満喫するお二人の「ひとり論」は痛快。さわやかでさえあります。そして「実は、ひとりで行ける名店」でも、心のふるさと「ロッツォシチリア」...
2024.02.22 06:23三代目の味/週刊現代特集「三代目の味」。脈々とつづく、これからもつづけていく老舗の「三代目」。彼らはゼロから始めた人でなく、味を継ぎ、暖簾を守る人たちです。「昨日と同じ今日をやる。だけど、昨日より良くしようと心がける」その味は、現代の宝になっています。自己主張、自己顕示、自己表現の時代にあって、彼らの言葉が私たちに教えてくれること。「はち巻岡田」「とんかつ とんき」「鳥茂」。私は後者2店を書きました。#週刊現代
2024.01.22 01:01立ち飲みエッセイ@メトロミニッツローカリズム「メトロミニッツ ローカリズム」いまどきの立ち飲み特集号。ここ数年で東京の立ち飲みはいちだんと多様化し、それぞれに個性が際立って、粒揃いです。そんな東京ホッピングに必携の一冊。私はこの大好物なテーマで、巻頭エッセイを書いています。タイトルは「立ち飲み酒場は、街のベンチ」。ヨーロッパの街にはベンチが多いんですよね。ベンチのある街は、やさしい街だと思いました。おかたく言えば、ベンチ(=立ち飲み酒場)の存在と意義みたいなことを、ふにゃふにゃ語っています。地下鉄の駅で見つけたら確保してくださいね。#メトロミニッツローカリズム
2023.11.27 10:59暮しの手帖 随筆初めての媒体、尊敬する雑誌『暮しの手帖』。初めて「随筆」という依頼を受けました。エッセイでなく、随筆。恥ずかしながらその違いをわかっておらず、ググりました。ふむふむ。随筆は筆者の「体験」から始まる文章なんだな、とざっくり理解し、だったら普段書いている感じでいいのかな、とふんわり書いて送ったんですけども、これは随筆になっているのかな?正直、ちょっとわかりません。でも新しいことってうれしいですね。もっと「随筆」書きたくなりました。
2023.11.20 10:56SALUS 愛すべき、推したち「グリルエフ」東急線沿線の駅構内で配布されている、フリーマガジン『SALUS』。さまざまな人が、自分の偏愛するお店を紹介する「愛すべき、推したち」のコーナーで、洋食屋「グリルエフ」@五反田について語らせてもらいました。自著『東京の美しい洋食屋』(エクスナレッジ)でトップに登場してもらったこのお店、書きながら今すぐにでも行きたくなっていました。
2023.10.31 11:41書評『イタリアの修道院菓子』『イタリアの修道院菓子』(誠文堂新光社)。著者の佐藤礼子さんは料理家なので再現可能に考え抜かれたお菓子のレシピもあるのですが、それ以上に圧倒的な、修道院とお菓子を巡る物語です。信仰の閉ざされた世界と中世の歴史、それをお菓子が紐解くという破壊力。薔薇の名前みたいなミステリーを読み解くように、ぐいぐい惹き込まれました。写真もまたもう一つの言語で語るような、こちらを見据える美しさ。目を逸せないのです。お菓子の佇まい、装丁も。本という物体っていいなと、改めて思いました。ぜひ手にとって、指でページをめくって味わってもらいたいなぁ。読書感想文を、クロワッサンで書いています。#イタリアの修道院菓子 #誠文堂新光社 #佐藤礼子