2023.12.02 05:16BRUTUS「おいしい、温泉」別府、湯布院ぬくもる特集、BRUTUSの「おいしい、温泉」で別府、湯布院を担当しています。別府温泉は源泉数・湧出量ともに日本一。なんて知らなかったのですが、今年の秋にプライベートで訪れ、温泉街の楽しさに感動したばかりでした。別府には8つの温泉郷がありますが、今回はJR別府駅まわりの別府地区。コンビニより多い地元の温泉、通称「ジモ泉」と、小さくて素敵な飲食店が混在する夢のような場所です。別府の人は自宅のお風呂に入らないと言われるほど、サンダルつっかけて行ける近所のジモ泉へ、朝起きてそのまんまの寝グセ頭と寝巻きみたいな格好でひとっ風呂。お散歩の途中にひとっ風呂。夜飲みに行く前にひとっ風呂。そこにはいつもの顔があって、たわいないおしゃべりをして。見知らぬ観光客にも話しか...
2023.11.28 03:02函館02 食べものづくりの交差点DEAN&DELUCA WEBサイト〈Enjoy Good Food〉の連載『僕らの新しいローカリズム』。函館編02は、「cafe water(カフェ・ウォーター)」です。長崎・雲仙「BEARD(ビアード)」オーナーシェフの原川慎一郎さんが手がけ、現場は中村由紀子さんが一人でまかなうカフェ。原川さんは、日本とその食に危機感を持って都市(東京)から地方(長崎)へと移り、地方から発信することを選びました。函館の「cafe water」は、2つめの拠点、ということです。なぜ、彼は地方を目指すのか。「危機感」の正体とは何か。そして、どうして函館だったのか?私は原川さんを「料理人という活動家」だと感じていますが、その活動は、私たちに大事なことを伝えてくれ...
2023.11.27 10:59暮しの手帖 随筆初めての媒体、尊敬する雑誌『暮しの手帖』。初めて「随筆」という依頼を受けました。エッセイでなく、随筆。恥ずかしながらその違いをわかっておらず、ググりました。ふむふむ。随筆は筆者の「体験」から始まる文章なんだな、とざっくり理解し、だったら普段書いている感じでいいのかな、とふんわり書いて送ったんですけども、これは随筆になっているのかな?正直、ちょっとわかりません。でも新しいことってうれしいですね。もっと「随筆」書きたくなりました。
2023.11.20 10:56SALUS 愛すべき、推したち「グリルエフ」東急線沿線の駅構内で配布されている、フリーマガジン『SALUS』。さまざまな人が、自分の偏愛するお店を紹介する「愛すべき、推したち」のコーナーで、洋食屋「グリルエフ」@五反田について語らせてもらいました。自著『東京の美しい洋食屋』(エクスナレッジ)でトップに登場してもらったこのお店、書きながら今すぐにでも行きたくなっていました。
2023.11.06 11:59沿露目dancyuの連載「東京で十年。」は、門前仲町の「沿露目(ぞろめ)」です。店主の大野尚人(ひさと)さんは、大衆酒場好きで、昭和の店マニア。でも単に古いお店が好きなのでなく、美学を感じるお店が好きなのです。美学とは、人それぞれです。正解はなくて、自分が美しいと思えばそれが美しい。だけど、自分はどうしてそれを美しいと思うのだろう?そう自分の中で突き詰めた答えが、その人の美学なのではないか、とこの取材で思いました。個人的に、一番書きたかったのはこの言葉です。「僕には、映像で表現したいことがない」大学生の大野さんは、映像の仕事に就きたかった。それが自分の「やりたいこと」だと思っていた。でも、気づけば「表現したいことがない」。その愕然とする感じがグサグサ刺さりま...
2023.11.03 08:43クオーコ・ジャポネーゼ 5°初のフィクションもの連載「クオーコ・ジャポネーゼ」も第5回。今回はドルチェがテーマです。舞台となっている2000年代初頭、イタリアで修業する日本人コックは、初めての店で、まずはドルチェの担当になるのがパターンでした。料理志望のコックは「料理を学びたいのに」とがっかりする。一方で菓子専門のパティシエは「料理人は菓子も作れる、なんて思い上がりだ」と言う。実際に取材で聞いた、そんな声からこの物語は生まれました。
2023.11.01 11:47月刊日本橋 愛知は日本のデンマークいちじくの話から、愛知のシェフが放ったひとこと。「それに愛知は日本のデンマークじゃないですか」あまりにも常識、みたいな雰囲気で語るので笑うところかなと思いきや、教科書にも載っている本当の常識でした。いちじくって、日本でもイタリアでも、揚げたくなるみたいです。
2023.10.31 11:41書評『イタリアの修道院菓子』『イタリアの修道院菓子』(誠文堂新光社)。著者の佐藤礼子さんは料理家なので再現可能に考え抜かれたお菓子のレシピもあるのですが、それ以上に圧倒的な、修道院とお菓子を巡る物語です。信仰の閉ざされた世界と中世の歴史、それをお菓子が紐解くという破壊力。薔薇の名前みたいなミステリーを読み解くように、ぐいぐい惹き込まれました。写真もまたもう一つの言語で語るような、こちらを見据える美しさ。目を逸せないのです。お菓子の佇まい、装丁も。本という物体っていいなと、改めて思いました。ぜひ手にとって、指でページをめくって味わってもらいたいなぁ。読書感想文を、クロワッサンで書いています。#イタリアの修道院菓子 #誠文堂新光社 #佐藤礼子
2023.10.27 00:48新連載はじまります。 DEAN AND DELUCAマガジンとウェブ松浦弥太郎さんが編集されているDEAN & DELUCAのマガジン08号(10月31日発売)とWEBで、新しく連載が始まりました。美しい写真が満載で、ずっと本棚にいてほしマガジンはゴム綴じというユニークなつくり。気に入りのページを抜いて飾ることもできるし、各号を綴じて一冊にすることもできる。現代アートとしての価値というか、紙媒体としての可能性にときめきました。話を連載に戻しますね。ゼロから何かをつくりたい人は、動画を逆回しするみたいに完成品から遡って、最終的に土の上という最初の地点=ゼロ地点に立つのだなぁとぼんやり感じたのが10年くらい前。当時、彼らはまだ一つの「点」として存在し、周りの理解を得られないまま孤軍奮闘していました。あれから10年。...
2023.10.25 05:03落ち鮎と天川村/あまから手帖お鹿さまの悠然たる表紙、これぞ奈良ですよね。関西の『あまから手帖』奈良特集で、天川村のことを書いています。奈良って人の住める土地が日本一少ない、たった23%。あとは山。それも山岳信仰の修験者が目指す、深くて険しい山です。「霊山」とか「秘境」のイメージですね。車のない時代は人間を寄せつけなかった、そういう山の中腹に天川村があります。なぜここへ行ったかというと、鮎の串焼きがあったから。鮎は私の世界一好きな魚だからです。車に乗ってくねくねと登ってみれば、そこは天上の村のような、桃源郷のような、穏やかな温泉街でした。鮎を焼いている人は「亀仙人」と呼ばれていて、水も空気も清らか。今振り返っても、あれは暑い晩夏に見た幻だったのかもしれないと思う、不思議な感覚です。
2023.10.20 07:18スタンドBUCHI 岩倉久恵さん/女将のいる場所『おとなの週末』にて隔月連載中、女将のいる場所。今回は、「スタンドBUCHI」の女将、日本ワインの女将、みんなの女将、岩倉久恵さんです。スポーツウェアが日本一似合う女将でもあります(断言)。大森克己さんの写真が送られてきた時、くくっと笑えて、元気が出ました。かつて神泉で10年、今もなお多くの人の記憶に残る『立喰酒場&坐房 buchi』が、八重洲で復活。解散の日、別れを惜しむスタッフやお客さん100人の前で、「いつか必ず再開します!」と泣きながら交わした約束を、忘れず果たした男前です。新しいお店に、黄色いテープでペタッと貼られた一枚の紙。「祝19才 BUCHI 全てに感謝」こちらこそですよ。
2023.10.18 08:27エッセイ「中秋の名月」全文 秋田魁新報秋田魁新報のリレー連載、エッセイ「遠い風 近い風」。2023年10月7日掲載、全文がnoteでお読みいただけます。今回は「中秋の名月」をテーマに書きました。月見団子から思い出した、幼少期の記憶。ススキと母と、長女という存在の不条理です。