2024.07.26 09:44温泉と野菜/デイリーブルータスBRUTUSのウェブマガジン「デイリーブルータス」。「温泉と野菜」3軒のうち、別府と伊豆高原を書いています。野菜って、思った以上にアグレッシブな食材。可能性無限です。
2024.07.23 00:58清らかな鰻/蒜山 鰻専門店 翏DEAN&DELUCA WEB「僕らの新しいローカリズム」、第2弾「蒜山(ひるぜん)」編がスタートしました!岡山県の、きわめて鳥取近く。丸い山にさまざまな樹木が茂り、川が川のままに蛇行して流れる、地元の人が「なんでもない」と言う里山です。ここに、しかし、とてつもなく魅力的な人々が集まり始めたのが気になっていました。自然栽培の生産者、豆腐職人、チーズ職人、ビール醸造家、料理家、金工作家に陶芸家、そして鰻職人も。彼らのローカリズムを、今月から6回(月1回満月更新)にわたってお伝えします。第1回は「蒜山 鰻専門店 翏(りょう)」。2013年に中目黒でオープンしたときから、店主の村田翏さんはインディペンデントな鰻職人でした。元バンドマンですが、鰻専門店...
2024.07.20 06:43インディペンデントな映画館と書店のある街へミニシアターよりもっと小さな、マイクロシアターと呼ばれる映画館に萌えています。きっかけは、赤い鉄柵の階段があるアパートの203号室が、映画館になっている「シネマ203」を知ったことでした。こんな映画館、あり?ありなんだ!と知った時の興奮。調べてみると、日本のあちこちにいつの間にか増えていた!なかでも、旧小学校の図工室をリノベーションした鳥取の「ジグシアター」の、ごろんとなりたい(なれる)ソファの誘惑たるや。こんな空間で、こんなふうに映画観てみたかった!という、眠れる願望が揺り起こされてざわざわが止まりません。私は自分の部屋で、すっぴんにパジャマで観る動画配信も大好きですが、映画館というパブリックだから得られる集中と高揚があり、さらにマイクロな映画館には...
2024.07.09 10:10COFFEE COUNTER NISHIYA/東京で十年。dancyuの連載「東京で十年。」は、浅草の「COFFEE COUNTER NISHIYA」です。西谷さんがふと、「まだSNSがなかった頃の時間」というフレーズをつぶやいて、原稿を書く間ずっとその情景を思い出していました。まだSNSがなかった頃、私たちは飲食店でどう過ごしていたか。まだSNSがなかった頃、私たちは何が楽しかったのか。まだSNSがなかった頃、私たちには、足りないものがあったんだろうか。今、「COFFEE COUNTER NISHIYA」にあるのは、SNSがなかった頃の静けさと、目の前の人とちゃんと目線が合う会話と、人が人を思ってつくってくれる一杯です。タイトルは「あなたのために」。西谷さんの姿勢を表す言葉ですが、じつは飲み手にとっての言葉...
2024.07.01 06:31小豆島の、亀じゃない亀の手いつの間にか、水森亜土さんの可愛いイラストが表紙になっている『月刊日本橋』。連載エッセイ「道の先に食あり」第19回は小豆島。すでに閉店してしまった食堂で食べた、亀の手の思い出です。小豆島は、ちょっとガラパゴス的な匂いがするんですよね(個人のイメージです)。江戸時代からつづく醤油、そうめん、全国でも早かった明治時代からの和牛の肥育。オリーブ、米、日本酒。あまり関連性を見いだせないラインナップは、個性のパッチワークのよう。そんな小豆島で、これまた「亀の手」とか「ダメ貝」というガラパゴス的な食べものと出会いました。巻き貝の身を取り出す時、爪楊枝でなく、針山に差したまち針を使うのも衝撃的。
2024.06.28 12:56心、ここにあらず/秋田魁新報秋田魁新報のリレーエッセイ、更新しました。スマートフォンは、身体を残して心だけ、ここではないどこかへ飛ばせる道具。良い悪いでなく、そういうことです。
2024.06.28 02:51自由が尊重される豚/あかり農場DEAN&DELUCAのウェブ連載「僕らの新しいローカリズム」。函館編は、いよいよラストのつくり手を迎えました。養豚の「あかり農場」。泥んこになって遊ぶ豚たちの表情を見てください。彼らは地元の食材から作られる餌を食べ、好きなように動き回って、ゆっくりと育ちます。いずれ人の口に入るけれど、その時まで自由な生を謳歌する。人間でも動物でも、生きとし生けるものにとって自由とは尊厳だと、私は思っています。「あかり農場」の山田さん一家の暮らしぶりを少しですが垣間見て、東京へ帰っても、「満ち足りる」という言葉が頭から離れませんでした。自分の好きなこと、自分に必要なもの、それらの分量がわかっていること。家族が食べるものを家族でまかないながらも、家族だけで完結す...
2024.06.25 06:59Ristorante Hideki Nakagawa/あまから手帖『あまから手帖』は神戸特集。私は「Ristorante Hideki Nakagawa」を書きました。シェフの中川英樹さんは『イタリアに行ってコックになる』(2003年刊行)のイタリア現地取材で出会った料理人。当時の彼はピエモンテ州アルバの「エノクラブ」という伝統料理店で修業中でした。いきなり日本から「取材させてほしい。本になるとか、先のことはわかりません」という国際電話をかけてきた、見知らぬ日本人を信用してくれて、ここからイタリアでの取材が始まったんです。中川さんはその後、イタリアの様々な土地で学び、イスラエルでお抱え料理人、京都でオーナーシェフ、再びイタリアに戻って美しいヴィッラのシェフとなり、永住するつもりが、家族ができて東京へ。そして昨年、神戸...
2024.06.21 02:19「ローブリュー」櫻井尚子さん/女将のいる場所連載「女将のいる場所」は、フランス料理店「ローブリュー」のマダム、櫻井尚子さん。ヌーベルヴァーグから昭和の映画まで愛する彼女の、映画のような出逢いが決めた、「コック道の妻」の人生です。
2024.06.06 05:55dancyu7月号、連載と特集と鼎談とdancyu7月号、テーマは「ひとりでも居心地のいいおいしい店ガイド」です。ひとりで外食するのはちょっとドキドキだけど、楽しんでみたい気持ちもある人に向けての特集。と聞いて、そうか、ひとりで外食するってあんまり普通じゃないのか、としみじみした私のところに鼎談のご依頼がありました。ひとりで食べる人代表みたいで照れますが、『東京最高のレストラン』(ぴあ)の編集長・大木淳夫さん、「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔さんとおしゃべりしてきました。ひとり食べの世界って千差万別。「仕方ないひとり」じゃなくて、積極的かつ本能的にひとりを満喫するお二人の「ひとり論」は痛快。さわやかでさえあります。そして「実は、ひとりで行ける名店」でも、心のふるさと「ロッツォシチリア」...
2024.06.03 05:42富山の人の昆布愛表紙の可愛いイラストは、水森亜土さん!キュートに満ちていますね。連載「道の先に食あり」、今回は富山の人の昆布愛がテーマです。北海道を出た北前船は、寄港した各地にさまざまな食文化を伝えていきましたが、富山の昆布文化は格別な根づきようです。風土や人の気質に、カチッと噛み合ったのでしょうね。私が富山出張で出会った、ただならぬ昆布愛のエピソードを書いています。ただ、現在は海の変化によって日本近海の天然昆布が激減、多くの品種で消滅の危機も指摘されています。昆布屋の職人も数えるほど。昆布の味を未来につなげられるよう、今、私たち日本人が、なんとかしなければなりませんね。
2024.06.01 05:31Energy Link 本2月に登壇したトークイベント「Energy Link」が本にまとめられました。このイベントは、まちづくりをプロデュースする北山創造研究所が主催。建築、イベント、飲食など、まちづくりに関わるさまざまな分野で最前線におられる方のお話を聴く、講演会であり、勉強会や交流会の機能を持っています。24年、24期続いていて、この24期の講演をまとめた1冊です。名だたる方々に紛れ込んでしまって申し訳ない感満載ですが、文筆家の森一起さんが名だたる方なので大丈夫。「酒場」「物書きの視線」をテーマにお話しています。