2024.03.12 01:49フード&カンパニー/東京で十年。dancyuの連載「東京で十年。」、今月号は学芸大学のスーパーマーケット「フード&カンパニー」です。グローサリーストアと書いたほうがいい?と迷いましたが、オーナーである白さん、谷田部さんの言葉「人が生きるために必要な食」「日常」「些細な心の充足感」を辿っていくと、やっぱりスーパーマーケットになりました。「毎日のお買い物」という小さな場所から、彼らはいつも「社会」という大きな集合体を見ています。経済の仕組み、生産物の背景、環境、教育、ものづくりの継承。理想を語るのでなく、具体的なアイデアを実現していこうとするお二人のお話に、私も改めて「今を生きる者は全員、未来をつくる当事者である」と気が引き締まりました。それにしても、小売・流通・接客経験ゼロからスタート...
2024.03.01 00:53和歌山ラーメンと早すしおなじみ『月刊日本橋』の連載エッセイ。今月は、高野山での精進料理取材からの和歌山ラーメン。聖と俗も混濁する豚骨醤油のラーメンを食べに行ったら、謎の「早すし」があったというお話。「早」があるということは、時間をかけるお寿司もあるわけで。和歌山は「熟れすし」の食文化が先にあったのですね。何個食べたか自己申告制のおおらかさを含め、和歌山って奥行きのある土地でした。
2024.02.29 00:27Energy Link 対談まちづくりをプロデュースする北山創造研究所が、20年以上も続けている「Energy Link」。建築、イベント、飲食など、まちづくりに関わるさまざまな分野で最前線におられる方のお話を聴く、講演会や勉強会や交流会の機能を持つサロン、のような会です。ここで、文筆家の森一起さんと対談しました。テーマは「酒場」と「物書きの視線」。先に書いた通り、歴代の登壇者は錚々たる方々なので、私でいいの?と申し訳ない気持ちでしたが、森さんと(酒場以外で)存分におしゃべりできるとあって、楽しくお話してきました。森さんはいつもどこかの酒場にいて、酒場の人々と交わって物語を紡がれる。その視線の先を一番知りたかったのは私です。
2024.02.22 06:23三代目の味/週刊現代特集「三代目の味」。脈々とつづく、これからもつづけていく老舗の「三代目」。彼らはゼロから始めた人でなく、味を継ぎ、暖簾を守る人たちです。「昨日と同じ今日をやる。だけど、昨日より良くしようと心がける」その味は、現代の宝になっています。自己主張、自己顕示、自己表現の時代にあって、彼らの言葉が私たちに教えてくれること。「はち巻岡田」「とんかつ とんき」「鳥茂」。私は後者2店を書きました。#週刊現代
2024.02.12 10:46ラ・トリプレッタ/dancyu「東京で十年。」取材前から、この連載史上最高の情報量だったんです。FB、インスタグラムは1日に何度もアップ、インスタライブやYou Tubeなどの動画もアップされていて、それを追うのに丸3日。取材のときも、次から次へとピッツァ、スタッフ、サッカー、格闘技、地域、働き方、育て方、誰かや何かのためになることがとめどなく溢れ出てくる。dancyuの連載「東京で十年。」、ピッツェリア「ラ・トリプレッタ」@武蔵小山のことです。私の裏テーマは「純粋な衝動」でした。花火のように3Dに飛び散っていくオーナー・ピッツァ職人、太田賢二さんの核は、17歳で感じたイタリアのバールの風景です。サッカーの試合に、店員もお客もいんなが「うぉー!」ってなっている熱狂と歓喜。いつまでも、いつまでもそれ...
2024.02.04 09:32クオーコ・ジャポネーゼ °6「イタリア好き」最新号が出ましたよ!焼いたパンにオリーヴオイル、最高ですね😌フィクション連載「クオーコ・ジャポネーゼ」は第6回になりました。タイトルは「渡り鳥、留まる鳥」です。かつてイタリア中に修業中の日本人コックが溢れていた時代、彼らは春夏秋冬の食材を追い求め、産地とリストランテを巡っていました。イタリア人の中にはそれを、いいところだけつまみ食いする渡り鳥、と揶揄する人もいたくらいです。でも、渡り鳥には渡り鳥の事情がある。何より、全体を見なくちゃわからないこともある。その一方で、留まることでしか見えない境地があることもまた事実。広く俯瞰するか、深く掘り下げるか?どっちがいいの?って、かつて若い料理人に聞かれて、答えられなかったことがあります。どっち...
2024.02.01 09:53仙台の冷やし中華/月刊日本橋月刊日本橋の連載「道の先に食あり」。今月は、私が愛してやまない、宮城県仙台市にある食堂のお話です。和菓子屋なのに冷やし中華が人気で、おばあさんが大福1個を買いに来る。やさしい街のやさしいお店。ちょっとファンタジーみたいだけれど、現実にちゃんと在る。こういうお店が日本にあるということが、希望です。
2024.01.26 07:51函館04 風土と人を載せたテーブル都市が憧れる、地方の食べものづくり。そのうねりを追いかける連載です。『僕らの新しいローカリズム』DEAN&DELUCA WEBサイト〈Enjoy Good Food〉。函館04は、函館の食べものづくりのつながり、その真ん中にいるレストラン「コルツ」です。シェフの佐藤雄也さんは20年前から函館で、素材や生産者と向き合ってきた人。彼と出会ったのは2002年のイタリア、アルバという小さな街でした。本場で修業し、東京で一旗揚げるのがセオリーだった時代、佐藤さんははっきりこう答えたんです。「僕は函館で、料理を作って〝生活〟を築きたい」それが自分にとってこのうえないことだと、「わかりきっている」とも言いました。言葉通り2003年に開業して、函館で20年。も...
2024.01.22 01:01立ち飲みエッセイ@メトロミニッツローカリズム「メトロミニッツ ローカリズム」いまどきの立ち飲み特集号。ここ数年で東京の立ち飲みはいちだんと多様化し、それぞれに個性が際立って、粒揃いです。そんな東京ホッピングに必携の一冊。私はこの大好物なテーマで、巻頭エッセイを書いています。タイトルは「立ち飲み酒場は、街のベンチ」。ヨーロッパの街にはベンチが多いんですよね。ベンチのある街は、やさしい街だと思いました。おかたく言えば、ベンチ(=立ち飲み酒場)の存在と意義みたいなことを、ふにゃふにゃ語っています。地下鉄の駅で見つけたら確保してくださいね。#メトロミニッツローカリズム
2024.01.21 22:58J-WAVE「ORIENT STAR TIME AND TIDE」出演市川紗椰さんがナビゲートするラジオ番組「ORIENT STAR TIME AND TIDE」(J-WAVE/1月20日土曜)に、ゲストで呼んでもらいました。私の現在・過去・未来……。その時間を円グラフにすると、睡眠と「ぼーっと」とが半々みたいな人生です。それでも「夢中」のある人生に憧れる、ぼんやりした人間のお話をしました。
2024.01.11 11:46パドラーズコーヒー/dancyu「東京で十年。」2024年最初の発売、dancyuの連載「東京で十年。」は、渋谷区西原の「パドラーズコーヒー」です。このお店がオープンしたばかりの時に取材させてもらって以来、共同代表の松島大介さんと加藤健宏さんは、私の尊敬する人物。松島さんには『変わらない店』(河出書房新社)にも登場していただきました。彼らに会うといつも、人としてシンプルな基本、みたいなことを教わる気がします。まずは自分から会いに行くところとか。気持ちのいい挨拶とか。あたりまえに力を尽くすとか。ああ人と人ってそうだった、って思い出すんです。二人よりずっと年上のシェフが昔、「一生懸命やんないと、自分が楽しくなれない」って言っていたことを思い出しました。彼らが十年、ずっと楽しそうなのは、1個1個一生懸命や...
2024.01.11 11:20大阪のソウルしゅうまい/月刊日本橋2024年1月の『月刊日本橋』。連載「道の先に食あり」は大阪のソウルしゅうまいです。『変わらない店 僕らが尊敬する昭和 東京編』(河出書房新社)は、名の暗示する通り、他の地方でも展開したい野望を秘めていました。昭和の店に惹かれて、大阪でも調査した記録が、やっと日の目を見たエッセイです。