東京の中でもファッション発信地といわれる街に、昭和な定食屋がある。 入口にはパリッとした暖簾が掛けられ、床は玉石の三和土(たたき)。ここが下町ならば、頭にタオルを巻いた作業員や、昼ビールを嗜むおじいさんグループがいそうな風情だ。 だが今、カウンターに座る私の隣では、モデルみたいに背が高くアヴァンギャルドな服を着た青年が、サバの味噌煮込み定食を食べている。 クールな居住まいからの想像を裏切る、すごい勢いでがっついている。 ものの10分で「お勘定」と席を立つ彼のお盆が、ふと目に入った。 思わず、二度見するほどの食べ散らかしっぷりだ。 サバは宇宙から隕石が落下した砂漠のように真ん中だけ
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