2023.04.03 02:21IN/SECTS 16号 本をつくるふきのとうみたいに、まだ土の上に出きっていない、時代の芽を見つけてくれる雑誌。IN/SECTS(インセクツ)にはいつもドキドキさせられます。16号は「本をつくる」という特集。『不肖の娘でも』ただ1冊を出版した、リトルドロップスも片隅に掲載してもらいました。いまや地方でも、個人でも本をつくっている時代。というかむしろ、地方や個人の本が抜群に刺激的で元気な時代。もちろん、読み手に届くまでの道のり、採算が取れるかどうかなどの苦労はありますが、表現する側の人間としては限りなく可能性を感じる小さな媒体だと思っています。電波でなく、手で触れることができる紙である、という物質性。大きさと形・デザイン・綴じ方といった物体としての存在感。サブスクでなくレコードで音楽を聴...
2022.10.10 14:11音読『シェフたちのコロナ禍』ブラックスワン10月9日から、黒鳥社のYouTubeで『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』(文藝春秋)が音読されています。レストラン「Ode」生井祐介シェフの章です。昨年の出版早々にポッドキャストで音読配信された、映像版。今「音読」の世界がおもしろいことになっていますね。静かに耳を傾けていると、雪のようにしんしんと、渦中にあった料理人の言葉が降り積もるような感覚。ちょっとシュールなんだけど、不思議に、ざわざわと心がかき乱されます。
2022.05.28 14:07『シェフたちのコロナ禍』担当編集と対談noteの自主連載「#何が正解なのかわからない」を、パブリックな書籍『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』にしてくれた文藝春秋の担当編集者、鳥嶋七実さんとお話します。編集者とイベントで話す機会はめったになく、鳥嶋さんとは初めてなのでめちゃくちゃ楽しみ!彼女は週刊文春の所属時代、『料理通信』に電話をして「地方イタリアンの記事を書いていたライターさん」を探してくれてつながりました。この本を一緒に作れて感無量です。後半は、辻調理師専門学校のメディアディレクターにして、出版社も営む小山伸二さんも参加。早くから本書に注目してくれていたそうです。
2022.03.11 08:05食生活ジャーナリスト大賞第6回 食生活ジャーナリスト大賞という、光栄な賞を受賞しました。2020年のコロナ禍、第一波に始めたnoteの連載「#何が正解なのかわからない」から、2021年に書籍化した『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』(文藝春秋)へ。その活動が評価されてのことでした。本書籍は「未経験のウイルスとの闘いの渦中に立たされた料理人たちの気持ちがリアルに伝わり、後世に残 る記録集となっている。」と講評していただいています。ありがとうございます。noteの連載を始めたのは、奇しくも11年前の今日、東日本大震災で「何もできなかった」記憶が原点です。シェフたちが被災地で炊き出しをしている話を聞きながら、無力感を覚えていました。コロナ禍になって再び「自分に何...
2021.11.11 02:57電子書籍、配信スタート(してました)。ミシマ社から刊行された2冊の本が、電子書籍になりました。『シェフを「つづける」ということ』は、2015年の出版から、おかげさまで3刷。いまなお取材先などで「読みました!」と言っていただけることの多い1冊ですが、スマホ派のみなさまにもぜひ。2003年にイタリアで取材した、修業中の日本人コックの「その後」を追った、10年後のドキュメントです。たとえ好きな仕事でも、つづけるって難しい。登場する15人の物語は自分のことでもあり、書いた私も繰り返し噛み締めたくなります。『昭和の店に惹かれる理由』は2017年の刊行で、ダ・ヴィンチの「今月のプラチナ本」に選んでいただきました。ちなみに表紙は星野源さん。10軒のうち、神保町の「スヰートポーヅ」も日本橋の「天ぷらはやし...
2021.11.05 01:00ラジオ 文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ!』メインディッシュまさか私が「メインディッシュ」になろうとは。ラジオ 文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ!』のメインディッシュコーナーにお邪魔しました。大竹まことさんの、飲食店への愛情。壇蜜さんは本書をしっかりと読みこんで、心に残った一節を紹介してくれました。「本書を読めば、確実に前を向いている人たちがいることがわかります」とのお言葉も、とても心強かったです。放送を聴き逃した方はこちらのYouTube、またはポッドキャストでどうぞ。
2021.11.05 00:54ラジオ NHK第一『三宅民夫のマイあさ!』著者からの手紙ラジオ NHK第一『三宅民夫のマイあさ!』著者からの手紙というコーナーにて、『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』が取り上げられました。聞き逃した方はこちらから、文字で読めます。私も著者として出演し、リ・カーリカ ランドの堤シェフ、麦酒屋るぷりんの西塚さん、鮨 㐂邑の木村さんについて語っています。収録前、三宅アナウンサーが一気に読んだと丁寧に感想を伝えてくれました。飲食業界は大変だと思っていたけど、一つ一つの声を知らなかった。何に苦しみ、どんな事情を抱えていたのか。やっぱり「知る」って偉大なこと。それこそが本書の意義だったのだなぁ、とあらためて感じました。聞いてくださったみなさん、ありがとうございました。
2021.09.28 03:42朝日新聞「折々のことば」で紹介されました朝日新聞朝刊の1面にある「折々のことば」は、哲学者の鷲田清一さんが自らの心に響いたことばを選び、思索を綴るコラムです。ここで『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』から、なんと2日連続で2名のことばが取り上げられました。9月10日は「鳥福」店主、村山茂さん。「不透明な未来への不安や心配、憤りなどの思いをともに分け合った、そのうえでの平常心、なんですね。」渋谷のんべい横丁「鳥福」は昭和7年創業です。『僕ら飲食店は、「今日行かなくてもいい場所」なんです。何も台風のなか傘をひっくり返してまで行かなくていい。でも翌日晴れたら、会社と家の通勤路をちょいと外れて、電車に乗って来てくれる。そうして「いらっしゃいませ」と言えるありがたさ、の積み重ねですよ...
2021.09.28 03:24書評「料理人たちのプライドとアナキズム」ブレイディみかこ氏『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』などの作家、ブレイディみかこさんがVOGUE JAPANで『シェフたちのコロナ禍』の書評を書いてくれました。全文読めます。「ビシッとストライクゾーンに」決まったそうで、よかった。本を世に出すことの最大幸福は、当事者の想像を遥かに超える、こんな感想を受け取ることにあります。1冊の本を発端に心が動き、思索が巡り、見えなかった世界が見えてくる。これまでも、そういった書評を読む幸福を度々味わってきました。今回、みかこさんの文章は痛快にして鋭く深く。自分で書いた本のことなのに、思わずスタンディングオベーションしたくなりましたよ。テーマはアナキズム。彼女いわく「非常に示唆的で哲学的な言葉に満ちていた」として、店主たちの...
2021.08.03 00:40『シェフたちのコロナ禍』多数の書評ありがとうございます。2021年5月のGWを過ぎて上梓した『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』(文藝春秋)ですが、2カ月半の間に、想像を絶する多くの書評をいただきました。書店の棚でもひときわ静かな装丁のこの本を取り上げ、読んでくださった方々に心の一番底から御礼申し上げます。書きながら本当に頭を下げています。みなさんが好きな飲食店というものが、どんな思いでつくられているのか、多くの人に知っていただければいいなと思います。7月末までに発表された(たぶん)全書評。ウェブで読めるサイトにはリンクを張りました。同じ文章でも感じ方は読み手の数だけあり、中には著者が教えてもらうような読み方もあったりして、毎回新鮮な気持ちで拝読しています。書き手としては、書評が多くて何が...
2021.07.10 04:56ラジオ「アシタノカレッジ」奇しくも4度目の緊急事態宣言発令となった昨日、コロナ禍と飲食店をテーマに、TBSラジオ「アシタノカレッジ」に呼んでもらいました。スタジオ横で待機中に菅総理の会見がなされ、次々と速報が飛び込む中での生放送。ジタバタがんばった、挙動不審なライターがYoutubeでご覧になれます。この番組内で『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』(文藝春秋)にも登場してくれた「ロッツォシチリア」店主・阿部努さんと中継でお話しました。きっと本番まで会見を聞き、情報を収集して、明日からのお店をどうしていくか考えている真っ最中だったでしょうに、いつものように気持ちよく引き受けてくださり、心から感謝申し上げます。阿部さんが絞り出すように語った言葉。「お店が人生なんで...
2021.05.21 03:14書評「生きた場所としてのレストラン」文藝春秋『文學界』6月号に、『シェフたちのコロナ禍』の書評が掲載されました。評者は作家・詩人・翻訳家である関口涼子さん。「2020年ほど、世界中の料理人が、レストランとは、料理人とはなんなのかについて考えた時期はなかっただろう」「フランス語では、ある主題に関して書かれた事柄(文献、書誌)も文学も同様にリテラチュールと呼ばれるが、そういう意味ではカタストロフに直面した時のそりぞれの迷い、思索と決定を言葉として丹念に書き留めていった本書も「聞き書き文学」として読まれうるポテンシャルを十分に秘めている」文学として評していただけたこと、心からうれしいです。関口さんはフランス在住とのこと。私は書評を通じてフランスの事情を知り、また「見知らぬ人に料理を提供すること...