2024.03.12 01:49フード&カンパニー/東京で十年。dancyuの連載「東京で十年。」、今月号は学芸大学のスーパーマーケット「フード&カンパニー」です。グローサリーストアと書いたほうがいい?と迷いましたが、オーナーである白さん、谷田部さんの言葉「人が生きるために必要な食」「日常」「些細な心の充足感」を辿っていくと、やっぱりスーパーマーケットになりました。「毎日のお買い物」という小さな場所から、彼らはいつも「社会」という大きな集合体を見ています。経済の仕組み、生産物の背景、環境、教育、ものづくりの継承。理想を語るのでなく、具体的なアイデアを実現していこうとするお二人のお話に、私も改めて「今を生きる者は全員、未来をつくる当事者である」と気が引き締まりました。それにしても、小売・流通・接客経験ゼロからスタート...
2024.02.12 10:46ラ・トリプレッタ/dancyu「東京で十年。」取材前から、この連載史上最高の情報量だったんです。FB、インスタグラムは1日に何度もアップ、インスタライブやYou Tubeなどの動画もアップされていて、それを追うのに丸3日。取材のときも、次から次へとピッツァ、スタッフ、サッカー、格闘技、地域、働き方、育て方、誰かや何かのためになることがとめどなく溢れ出てくる。dancyuの連載「東京で十年。」、ピッツェリア「ラ・トリプレッタ」@武蔵小山のことです。私の裏テーマは「純粋な衝動」でした。花火のように3Dに飛び散っていくオーナー・ピッツァ職人、太田賢二さんの核は、17歳で感じたイタリアのバールの風景です。サッカーの試合に、店員もお客もいんなが「うぉー!」ってなっている熱狂と歓喜。いつまでも、いつまでもそれ...
2024.01.11 11:46パドラーズコーヒー/dancyu「東京で十年。」2024年最初の発売、dancyuの連載「東京で十年。」は、渋谷区西原の「パドラーズコーヒー」です。このお店がオープンしたばかりの時に取材させてもらって以来、共同代表の松島大介さんと加藤健宏さんは、私の尊敬する人物。松島さんには『変わらない店』(河出書房新社)にも登場していただきました。彼らに会うといつも、人としてシンプルな基本、みたいなことを教わる気がします。まずは自分から会いに行くところとか。気持ちのいい挨拶とか。あたりまえに力を尽くすとか。ああ人と人ってそうだった、って思い出すんです。二人よりずっと年上のシェフが昔、「一生懸命やんないと、自分が楽しくなれない」って言っていたことを思い出しました。彼らが十年、ずっと楽しそうなのは、1個1個一生懸命や...
2023.12.07 05:10東京で百年。「シンスケ」dancyuの連載「東京で十年。」は、年末恒例スペシャルエディション。「東京で百年。」となって、湯島の酒場「シンスケ」さんが登場してくれました。大正13年創業。その2年後から昭和が始まり、平成、令和と4つの元号にわたって、代々家族でお店をつづけてこられました。最も長く激しい昭和を、3代目の矢部敏夫さんはこう語ります。「昭和なんてね、そんないい時代じゃなかったですよ。父はただの酒場の親父。そんな庶民が招集された時代です」戦争は歴史でなく、このゾッとするような感覚そのものだと感じました。今、日本においては戦争がないけれど、その代わり別の病に罹っているような世の中です。未来の見えない不安、出口がわからない閉塞感。この時代を継ぐことになった、4代目の矢部直治さ...
2023.11.06 11:59沿露目dancyuの連載「東京で十年。」は、門前仲町の「沿露目(ぞろめ)」です。店主の大野尚人(ひさと)さんは、大衆酒場好きで、昭和の店マニア。でも単に古いお店が好きなのでなく、美学を感じるお店が好きなのです。美学とは、人それぞれです。正解はなくて、自分が美しいと思えばそれが美しい。だけど、自分はどうしてそれを美しいと思うのだろう?そう自分の中で突き詰めた答えが、その人の美学なのではないか、とこの取材で思いました。個人的に、一番書きたかったのはこの言葉です。「僕には、映像で表現したいことがない」大学生の大野さんは、映像の仕事に就きたかった。それが自分の「やりたいこと」だと思っていた。でも、気づけば「表現したいことがない」。その愕然とする感じがグサグサ刺さりま...
2023.10.10 02:30フォカッチェリア アルタムーラ dancyu 東京で十年。封筒を開けたら海苔の香りが漂ってきそうだった今月のdancyu。おにぎりは、私が握ると丸になり、弟が握ると球になった。夫も球。サンプル2名ながら、男子はなぜボールなのか、というのが長年の疑問です。昔の大河ドラマで、新潟が舞台の時に白むすびがやはり球。お米の産地だけに、白い球がやたらおいしそうで、おにぎりのおいしさが戦力に貢献したんだろうなと真面目に思います。で、今月号の「東京で十年。」は「Focacceria ALTAMURA(フォカッチェリア アルタムーラ)」。イタリアで「パンの街」と呼ばれるアルタムーラで修業した職人、山本誠さんのお店です。フォカッチャ専門店というニッチな土壌で、十年。店でお客を待つのでなく、「いつでも店を飛び出して、お客のいる場所...
2023.09.06 02:48dancyu 特集と連載今月のdancyuでは、連載「東京で十年。」のほか、特集・一生食べ続けたい「ひと皿」でも書かせてもらっています。99人が語る、それぞれの「ひと皿」は特別な思いに満ちていて、「ひと皿」を考えることは、食べてきた人生、生かされてきた人生を振り返ることだったのだろうなと、伝わってきます。ページをめくっいくうちに、〝一生食べ続けたい「ひと皿」〟が〝これがあれば、大丈夫〟という響きにも聞こえてきましたよ。ちなみに私の「ひと皿」は、ビッレリア・ルッポロのトピナンブールの素揚げです。一生なので、「これから」に思いを馳せてみました。連載「東京で十年。」は、「オトナノイザカヤ中戸川」です。10年前、イタリア料理の人が居酒屋をつくるってどういうこと?という取材が多々あって...
2023.08.07 01:48ルブトン dancyu 東京で十年。オープンしたての頃から、路地裏にそこだけ灯りが漏れていて、楽しそうだなぁと思っていた「ルブトン」。いつかお話を聞いてみたかった杉山将章シェフに、念願叶って取材できました。どうしてこの店に人が集まるのか(お客さんも同業者もスタッフも)、その理由がみなさんに伝わりましたら幸いです。ちなみにタイトル「できるんだったら したほうがいい」は、私も座右の銘です。といっても私の場合はすぐさぼるから、自分のお尻を叩くための言葉だけど、杉山さんは迷わず体が動いてる。そこだよね。#dancyu #東京で十年 #ルブトン
2023.07.06 06:40バー ベンフィディック dancyu「東京で十年。」dancyuで連載中の「東京で十年。」、カレー特集の8月号は「バー ベンフィディック」です。西新宿というカオスな街で十年。今や世界中からバー好きがやってくる店ですが、どこから、どうしてこうなった?彼らが訪れる理由は?昼の畑と夜のバーを行ったり来たりの店主、鹿山さんは、だからバーテンダーなのに日焼けしています。世界とかランキングとか抜きに、ハーブマニア、アブサンマニア、辺境の酒マニアで、最終地点は生涯現役。彼の話を聞きながら、いつしか朝ドラ『らんまん』の槙野万太郎に見えてきました。
2023.06.15 10:31YouTube implicito ITALIAN WINE INDEX 第1弾インプリチトのYouTube番組「implicito ITALIAN WINE INDEX」で、『東京で十年。 店をもつこと、続けること」(プレジデント社)の特集をしてくれました。メンバーは、本書に登場してくれたこの方々。「トラットリア・デッラ・ランテルナ・マジカ」の阿部 之彦さん「オストゥ」の宮根 正人さんそしてホストの「バール・エ・エノテカ インプリチト」の松永聡さん全3回の、まずは第1弾。
2023.06.15 09:13エノテカ・アリーチェ dancyu 東京で十年。dancyuの連載「東京で十年。」今回は、イタリアワインと食材の店「エノテカ・アリーチェ」@練馬です。店主の矢立泰介さんはなんでもすぐやる課の人で、なんでも任せておけば安心の兄貴分体質。10年程前の初取材でも、人の1.5倍速で生きているような印象でした。もう少しで10年、「東京で十年。」で取材させてもらいたいと考えていた時、脳梗塞で倒れたと知らせを受けたんです。で、祈るような気持ちで待ちました。11年になったら、取材の対象外になってしまう。そんなこっちの都合など矢立さんは知る由もありませんが、祈りが通じたか、脅威のスピードで回復してくれました。以前よりちょっと穏やかな表情で、でも「走り屋」にはあんまり変わりなく。取材後、担当編集者が「人生の壮大な伏線回...
2023.05.11 03:47シカモアこんなマンガだらけのdancyu見たことない!けどマンガで表現される世界はジンジンきますね。今月の連載「東京で十年。」は101回、新たな大台です。世田谷線の一駅、世田谷上町から、秋に大分への移住が決まっている「蕎麦シカモア」。東京は流れる街、通り過ぎる街でもあります。それは悪いことじゃない。子どもが親元を離れて歩き出すように、地元から旅立つ夫妻。独りで(二人で)しっかり歩けるのは、十年、しっかり愛されて強くなれたからこそ。離れても、親戚に会うようにたまには東京へ帰ってらっしゃい。