取材時は、ドラマ「グラン・メゾン東京」の放映真っ最中でした。
こういう職場ものって、多くは本職の人に「リアルじゃない」とダメ出しされそうなものですが、このドラマはどの取材現場に行っても「わかるー!」とシェフたちが心酔していたのがおもしろかったです。
今回の「東京で十年。」は白金台の「ルカンケ」。
古屋壮一シェフもまたドラマに大きく共感していた一人です。
シェフいわく、「フランス料理界で、一九七〇年代半ばに生まれた料理人は最後の叩き上げ世代」。古屋さんは1975年生まれ。その前後を境に、料理人としての育ち方も、考え方も大きく変わると現場で実感するそうです。いい、悪いでなく「違う」という意味で。
それ以後の世代には彼らの強みがあり、しかし自分たちには自分たちの、叩き上げた強みがある。
70年代半ば生まれのシェフたちを、古屋さんは真っ直ぐに、競い高め合える同志として捉えていました。文中にも数人のお名前が出てきますが、あるシェフの料理に「きたー!」と新しい時代の幕開けを予感し、またあるシェフの表現には「限られた価格の中でもこれだけのことができるんだ」と刺激を受ける。
何よりシェフがわくわくしながら、自分自身をどんどん変えていきました。
料理が好きな人たちには、彼らにしかわからない周波数があって、その料理でわかり合える。
なんかいいなぁ。
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