ビストロエビス

料理人でも、サービスでも、女性が続けていくのは難しい現実問題に、結婚と出産があります。イタリアではマンマのシェフも多いというのに、日本では女性シェフがとても少ないのです。

実際、イタリアで修業中の日本人女性料理人を現地ではよく見かけましたけど、帰国するとなぜかいなくなる。多くは料理研究家や料理講師、またはアルバイトなど、レストランではない場所で料理を続けていました。

けれど、「ビストロエビス」の平尾有紀さんは、出産後もマダムとしてお店に立っています。

赤ちゃんをくっつけて。

それが可能なのは、夫婦で営む店であること、常連客が多いこと、彼らと公私の境界がないほど家族的であること。といったいくつもの要素が重なっているから、なんですが、それは偶然ではなく、やっぱりマダム・平尾有紀さんの魅力です。

カウンターフレンチを訪れて、もし赤ちゃんをおんぶしたマダムがいたら、最初はびっくりするかもしれません。でも、なぜかだんだん普通になる。それどころか赤ちゃんのもたらす幸福感が半端なく思えてくるから不思議です。

できればずっと、赤ちゃんに大きくならないでほしいほどに。

それにしても、昭和のお母さんたちはおんぶひもで胸をばってんにして、赤ちゃんを背負いながら接客していたなと思い出しました。レストランでなく食堂ですが。その光景は「普通」でしたよね。