シンプルパスタ号、今回はその特集記事でも、「ペレグリーノ」を書いています。
シンプル=簡単、簡略ってことではありません。
髙橋隼人シェフのパスタを知れば、その意味がわかります。
レシピを見れば、材料も手順も「これだけ?」って突っ込みたくなるくらいの少なさ。トマトソースのパスタソースなんか、瓶詰めのパッサータ(裏ごしトマト)を温めるだけです。
でも、そのパッサータに何を選び、どう温めるか。パスタをどう選び、どうゆでるか。
お湯の温度、塩分濃度、ゆで時間。仕上げのオリーブオイルまで、思考し続ける。
彼にとってのシンプルは、磨き上げたところにある精度。家庭用にアレンジしてくれたパスタでさえも、その哲学が伝わります。
もう一つ、連載の「東京で十年。」は、ヨーロピアンパブ「ピガール トウキョウ」です。三軒茶屋の街で、取り残されたような長屋で、ペドロ・アルモドバルの世界観をやっている。しびれるかっこよさ。
十周年の6月20日はコロナ禍真っ最中で、いつものようなイベントもできなかったけれど、店主夫妻はこう言います。
「いつも通りの6月20日で、十分です」
第三波の今ふたたび、この言葉の意味が大きく胸に響きます。
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