朝日新聞「折々のことば」で紹介されました

朝日新聞朝刊の1面にある「折々のことば」は、哲学者の鷲田清一さんが自らの心に響いたことばを選び、思索を綴るコラムです。

ここで『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』から、なんと2日連続で2名のことばが取り上げられました。

9月10日は「鳥福」店主、村山茂さん。

「不透明な未来への不安や心配、憤りなどの思いをともに分け合った、そのうえでの平常心、なんですね。」

渋谷のんべい横丁「鳥福」は昭和7年創業です。

『僕ら飲食店は、「今日行かなくてもいい場所」なんです。何も台風のなか傘をひっくり返してまで行かなくていい。でも翌日晴れたら、会社と家の通勤路をちょいと外れて、電車に乗って来てくれる。そうして「いらっしゃいませ」と言えるありがたさ、の積み重ねですよね。そんな不要不急の世界で飯を食ってきた』

そう語る老舗の「平常心」には、凄みがありました。

9月11日は、2020年に三つ星を獲得した「レフェルヴェソンス」生江史伸シェフ。

「飲食店の厨房は毎日が緊急事態ですから。」

取材時、シェフはさらりと放った一言でしたが、客席側の人たちは想像もしませんよね。

なぜ、料理人は有事に身体が動くのか。

本書の取材を通して、私もまた考え続けていました。