東京へ来て初めて知った食べものの一つに、ゆで落花生がある。 30年くらい前だろうか。居酒屋のお通しでそれが現れた時は、何かの間違いかと思った。 カラカラの殻(さや)を割ってポリポリッと食べるのが醍醐味、の落花生が見る陰もなく濡れているではないか。 なんて罪深いことをするのだろう。 こわごわと、ぬるっとした殻を剥き、水を滴らせつつ実(種子)を薄皮ごと口に放り込む。すると、しっとりの中にほこほこした歯ざわり。 未知の物体だ。 ほどなく優しい甘みがにじみ出てきて、今度はその食感と味わいを一粒ずつ確認すべく、手が止まらなくなった。 何よりもたまらないのは、土の香りだ。 ゆで落花生は、堀り
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