本書『変わらない店 ー僕らが尊敬する昭和 東京編』は、基本的にメトロミニッツ誌での連載をまとめたものですが、本文には加筆修正をしています。
そして登場する店主や店のプロフィールは、新たに書き下ろしました。
「僕ら」である若き店主たちの28人の経歴。
「昭和の店」28軒の歴史と紹介。
つまりは58本、なんとそれぞれ600字ずつになってしまいました。ピンと来ない人のために言うと、雑誌連載では約100字なので6倍、もはやプロフィールではありませんね。
正直言うと、それでも900字から減らしたのです。いやぁ、書いてるうちに楽しくなっちゃって。
「僕ら」の人選をどうしていたかというと、単純に、「この人の尊敬する昭和の店ってどこだろう?」 と私が知りたい人です。
でも訊きたくなるような人は、そう多くはありません。誰でもいいわけじゃない。時代を映す店、東京を面白くしている店。何よりそれが流行でなく、深いところを捉えようともがいている店の店主。
ライターとしてこれまで取材したり出会ったりした人の中から、そう感じた人だけに話を訊いています。
「尊敬する昭和の店」を訊くのが、なぜこの人だったのか。
それをわかってもらえるように書いた600字は、だから「その人について」という文章です。
彼らについて書くために、これまで10年以上に渡って取材したすべてのノートから、遡って記録を掘り返しました。それがまた古いアルバムを見るようで、楽し過ぎて進まない(笑)。
勝手に夢中になって、勝手に書いて、すべて書き終わった後に「なんとかこれで!」 と編集の田中さんとデザイナーの菅さんにおずおずと差し出した確信犯。
しかし彼らはギリギリ、ぴったり入れてくれました。本当にいい人たちでよかった。
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