vol.10 ハミダシ、収束。

かなり、はみ出てます。
と出版社の誰かが一章ごとのはみ出し行数を書き出してくださり、こうしてバックアップしてくれる人もいるのだなぁと、本に関わる人の多さにしみじみ感動しています。
そして、「はみ出し」→「ハミダシ」ってカタカナだとちょっと可愛い。
なんてのんびり笑ってる場合じゃないぞと思っていたら、デザイナーの菅さんがすみやかに行内の文字数を変え、行数をいじり、なんと私が何もしないうちに収束してくれました。

おばあちゃんが浴衣の裾を「去年よりうんと背が伸びたねぇ」と言ってチクチク縫い直してくれるみたいに。マジックだ……。
文字の大きさは変わっていないのに。

そう、あれは最初の打ち合わせ。編集の田中さんから「こうして欲しいというご要望はありますか」と訊かれたとき、「大きめの文字がいいです」と答えた筆者です。
「小さい文字の本は、なんだか読む気になれなくて。できれば余白もあったほうが」
そう追加投入すると、田中さんは「えええーっ!」と珈琲をひっくり返しそうになってました。
「だって本好きは、文字がびっちりのほうがうれしいです。スカスカだと損した気分になっちゃう」
今度は私が「えええーっ!」です。
なんと!そうか、本が好きな人はそうだったのか……。
しかしながら、さすが編集者、「小さい文字は、老眼など読みづらい人もいる。そういう人が出ないよう、広く読んでもらえる大きさにしましょう」と、ビシッとガイドラインを決めてくれました。
で、菅さんはいつも、書き過ぎる筆者と文字の大きさの間に立ちつつ、マジックを使って何とかしてくれてます。(ごめんなさい)