落ち鮎と天川村/あまから手帖

お鹿さまの悠然たる表紙、これぞ奈良ですよね。

関西の『あまから手帖』奈良特集で、天川村のことを書いています。

奈良って人の住める土地が日本一少ない、たった23%。あとは山。それも山岳信仰の修験者が目指す、深くて険しい山です。

「霊山」とか「秘境」のイメージですね。

車のない時代は人間を寄せつけなかった、そういう山の中腹に天川村があります。

なぜここへ行ったかというと、鮎の串焼きがあったから。

鮎は私の世界一好きな魚だからです。

車に乗ってくねくねと登ってみれば、そこは天上の村のような、桃源郷のような、穏やかな温泉街でした。

鮎を焼いている人は「亀仙人」と呼ばれていて、水も空気も清らか。

今振り返っても、あれは暑い晩夏に見た幻だったのかもしれないと思う、不思議な感覚です。