東京で百年。「シンスケ」

dancyuの連載「東京で十年。」は、年末恒例スペシャルエディション。

「東京で百年。」となって、湯島の酒場「シンスケ」さんが登場してくれました。

大正13年創業。その2年後から昭和が始まり、平成、令和と4つの元号にわたって、代々家族でお店をつづけてこられました。

最も長く激しい昭和を、3代目の矢部敏夫さんはこう語ります。

「昭和なんてね、そんないい時代じゃなかったですよ。父はただの酒場の親父。そんな庶民が招集された時代です」

戦争は歴史でなく、このゾッとするような感覚そのものだと感じました。


今、日本においては戦争がないけれど、その代わり別の病に罹っているような世の中です。

未来の見えない不安、出口がわからない閉塞感。

この時代を継ぐことになった、4代目の矢部直治さんは、しかしあきらめません。

次の時代に生きる人たちへ、未来が見える、出口がいくつもある世の中を残すためです。

1軒の酒場が、社会(世界)をよくするためにできること。

直治さんは、この時代の「当事者の責任」と表現しましたが、私たちはみんなそうですね。

dancyuでは「シンスケ」の歴史だけでなく、「今」と「これから」も描いています。


※歴史については、書籍『昭和の店に惹かれる理由』(ミシマ社)をぜひ!