2019.06.19 09:03ブンカ堂連載・新米オーナーズストーリーは、いわゆるセンベロの町・立石の「ブンカ堂」です。オーナーの西村さんは立石生まれの立石育ち。「この町に無いものがよそにあるなら出たんだろうけど」、結局、出なかった。それは彼に必要なものが、この町に全部あったということです。キャップを浅く被ったおじさんが昼からお酒を呑むのがあたりまえの町で、西村さんはニコニコと、自分の祖父くらいのお客さんも、若い世代のお客さんもふわっと迎えます。みんなが同じように許される。「1000円で2時間いる人」だって許される。なぜなら「僕があくせくしなくて済むからです」。「これ無理」とか、「許せない」のほうが多く聞こえる時代にあって、許すやさしさが受け継がれているお店です。
2019.06.18 13:41葡呑(ぶのん)このお店のことを、私はちゃんとわかって書けるだろうか。そもそも私が、書いていいのだろうか。考え始めるとこわくなる、それほどこの店を特別に思う人は多く、この店が育ててきた人の輪は大きい。「葡呑」は、みんなが帰る家のような酒場です。dancyu連載「東京で十年。」もうとっくに20年くらいかと思いきや、西麻布で10年。雑居ビルばかりの街で、奇跡的に残る一戸建て木造家屋。デザインは故・石川純夫氏。デザイナーズ・レストランなる言葉が生まれた1990年代、古民家再生を得意として活躍されていた方です。誌面では、生かされているこの家が笑っているように写っています。女将のくまちゃんと、店主の中湊さんと、この家と。三人(二人と一軒)一緒、10周年の記念写真ですね。
2019.06.03 06:39近江屋洋菓子店の「抑制」長くつづく、よいデザイン。ロングライフデザインとは、形だけのことでなく、ものの作られ方や売られ方などデザインを取り巻く環境を含めての言葉だそうです。ロングライフデザインを提唱してきた、ナガオカケンメイさん率いるD&DEPARTMENTPROJECTから、新雑誌『d news(ディ ニュース)が創刊されました。これまで、各都道府県をデザインの視点で切り取る旅の本『d design travel』の発刊などでつながってきた人々、ロングライフデザインのまわりにいる人々と作る、全100ページ。私は、ここで連載「つづく店のやさしさ」を書かせていただいています。第1回は、明治17年創業の「近江屋洋菓子店」。そのやさしさは「抑制」にある、というエッセイです。...