2024.07.30 09:55寺尾紗穂さん「わたしの手帖」/暮しの手帖『暮しの手帖』最新号、寺尾紗穂さんの「わたしの手帖」を書いています。敬愛する大沼ショージさんの写真です。寺尾さんはピアノの弾き語り、草花の寄せ植え、文筆活動ほかさまざまに行動されながら、3人の娘さんをもつお母さんでもある方です。お仕事の依頼があったのは、母を亡くしたばかりの時でした。秋田の葬儀から帰京して、普段の生活に戻り、寺尾さんの歌「あの日」をバスの中で聴いた時。いつの間にか涙が出ていて困りました。歌の中のシチュエーションとは違うんだけど、なんでだか。掲載誌が届いたら、これまた母が愛していた、いわさきちひろさんの絵が表紙でちょっとびっくり。母は、今もともに生きている。そんな感覚に救われています。
2024.07.26 09:44温泉と野菜/デイリーブルータスBRUTUSのウェブマガジン「デイリーブルータス」。「温泉と野菜」3軒のうち、別府と伊豆高原を書いています。野菜って、思った以上にアグレッシブな食材。可能性無限です。
2024.07.23 00:58清らかな鰻/蒜山 鰻専門店 翏DEAN&DELUCA WEB「僕らの新しいローカリズム」、第2弾「蒜山(ひるぜん)」編がスタートしました!岡山県の、きわめて鳥取近く。丸い山にさまざまな樹木が茂り、川が川のままに蛇行して流れる、地元の人が「なんでもない」と言う里山です。ここに、しかし、とてつもなく魅力的な人々が集まり始めたのが気になっていました。自然栽培の生産者、豆腐職人、チーズ職人、ビール醸造家、料理家、金工作家に陶芸家、そして鰻職人も。彼らのローカリズムを、今月から6回(月1回満月更新)にわたってお伝えします。第1回は「蒜山 鰻専門店 翏(りょう)」。2013年に中目黒でオープンしたときから、店主の村田翏さんはインディペンデントな鰻職人でした。元バンドマンですが、鰻専門店...
2024.07.20 06:43インディペンデントな映画館と書店のある街へミニシアターよりもっと小さな、マイクロシアターと呼ばれる映画館に萌えています。きっかけは、赤い鉄柵の階段があるアパートの203号室が、映画館になっている「シネマ203」を知ったことでした。こんな映画館、あり?ありなんだ!と知った時の興奮。調べてみると、日本のあちこちにいつの間にか増えていた!なかでも、旧小学校の図工室をリノベーションした鳥取の「ジグシアター」の、ごろんとなりたい(なれる)ソファの誘惑たるや。こんな空間で、こんなふうに映画観てみたかった!という、眠れる願望が揺り起こされてざわざわが止まりません。私は自分の部屋で、すっぴんにパジャマで観る動画配信も大好きですが、映画館というパブリックだから得られる集中と高揚があり、さらにマイクロな映画館には...
2024.07.09 10:10COFFEE COUNTER NISHIYA/dancyudancyuの連載「東京で十年。」は、浅草の「COFFEE COUNTER NISHIYA」です。西谷さんがふと、「まだSNSがなかった頃の時間」というフレーズをつぶやいて、原稿を書く間ずっとその情景を思い出していました。まだSNSがなかった頃、私たちは飲食店でどう過ごしていたか。まだSNSがなかった頃、私たちは何が楽しかったのか。まだSNSがなかった頃、私たちには、足りないものがあったんだろうか。今、「COFFEE COUNTER NISHIYA」にあるのは、SNSがなかった頃の静けさと、目の前の人とちゃんと目線が合う会話と、人が人を思ってつくってくれる一杯です。タイトルは「あなたのために」。西谷さんの姿勢を表す言葉ですが、じつは飲み手にとっての言葉...
2024.07.01 06:31小豆島の、亀じゃない亀の手いつの間にか、水森亜土さんの可愛いイラストが表紙になっている『月刊日本橋』。連載エッセイ「道の先に食あり」第19回は小豆島。すでに閉店してしまった食堂で食べた、亀の手の思い出です。小豆島は、ちょっとガラパゴス的な匂いがするんですよね(個人のイメージです)。江戸時代からつづく醤油、そうめん、全国でも早かった明治時代からの和牛の肥育。オリーブ、米、日本酒。あまり関連性を見いだせないラインナップは、個性のパッチワークのよう。そんな小豆島で、これまた「亀の手」とか「ダメ貝」というガラパゴス的な食べものと出会いました。巻き貝の身を取り出す時、爪楊枝でなく、針山に差したまち針を使うのも衝撃的。