2024.08.20 09:44蒜山醸造所 つちとみず/僕らの新しいローカリズム蒜山編の第2回は、野生酵母でビールを醸す「蒜山醸造所 つちとみず」です。蒜山の人々から「すぎちゃん」と呼ばれ愛される醸造家は、48歳で公務員からの転身でした。余談ですが、工房の片隅に、親しい友人の名前と正の字が書き込まれたメモを発見。たぶんご近所仲間が、杉さんが留守の時にビールを買い、買った分だけ本数を書き込む自己申告のメモ。おおらかな蒜山の暮らし、いいなぁ。
2024.08.16 09:04「泰明庵」濱野照子さん/女将のいる場所「おとなの週末」隔月連載「女将のいる場所」。今回は銀座の蕎麦・軽食「泰明庵」の女将、濱野照子さんです。困っている人をたすけたい人。見て見ぬふりができない人。口で言うのは簡単ですが、自分の性分として、どうしようもなくそうである人に、私はそうそう会ったことがありません。戦後の銀座で育った濱野さんは、10歳頃にアメリカ兵にトイレの場所を訊かれ、とっさに「公園のトイレは汚いし」と頭をフル回転。リニューアルした百貨店のトイレを思いつき、でも「教えるだけじゃ道に迷うかも」と見知らぬアメリカ兵を百貨店まで案内しました。原稿を書く時、グーグルマップでその距離を調べてみたら、400メートルくらいある。大通りも越えて、今の銀座で言えば5ブロック先です。子ども時代からそこま...
2024.08.10 08:54堀田茜さんのラジオ出演何度か呼んでいただいている、堀田茜さんのJ-WAVE「ENEOS FOR OUR EARTH -ONE BY ONE-」に2週連続で出演しました。1週目は「僕らの新しいローカリズム」より蒜山のお話。2週目は「月刊日本橋」より富山の人の昆布好きのお話。堀田さん、スタッフの皆さん、ありがとうございました。
2024.08.09 11:38鮨竹/dancyu江戸前鮨、「鶴八」一門、銀座、そして女性。いくつもの難関をくぐり抜けてきた、鮨職人です。鮨職人の世界に飛び込んだ時は、「知らな過ぎて怖さもなかった」という言葉が印象的でした。知らないって案外、大事かもしれませんね。ここまで書いていいのかな、でも大事なことだな、と恐る恐る書いたことも、全部オッケー。本当に任侠映画のような、さばさばっとした鮨職人でした。でも,私は開店当時のジーン・セバーグみたいなキュートさも、目に焼き付いて忘れられないのです。
2024.08.09 09:58京都「たつみ」/Meets Regional関西の「街と店」を楽しむ雑誌、Meets Regionalさん。特集「みんなの居酒屋」で、京都の「たつみ」を書かせてもらっています。おそらくお店の人は、井川直子なんてご存じない。挨拶もしたことがない。勝手にふらっと行って、すっと帰る居酒屋です。原稿執筆の直前に、鳥取の汽水の湖に行っていたので、多分に汽水フレーバーな原稿となっております。
2024.08.08 13:21小説「クオーコ・ジャポネーゼ」第8回イタリアで修業中のコックたちがびっくりすることの一つに、日本と違う、長い夏休みがあります。修業先のリストランテはもちろん、街のバールも床屋も精肉店も、みんな店のシャッターをおろしてバカンスに行ってしまう。1分1秒でも学びたい日本人コックは、バカンスでも絶賛営業中のリゾートへ行くことになります。『イタリア好き』のフィクション連載「クオーコ・ジャポネーゼ」は第8回。物語の主人公である「僕」もまた、北の修業先から、南のリゾート地へ。人の気質もルールも違う場所にきて、日本人コックの選択はまたしても、おおむね3つの方向に分かれます。①北よりあったかくて人間的!と大好きになるか。②ルーズで自分勝手!と馴染めないか。③「違い」に戸惑い葛藤してしまうか。「僕」は南で初...