2019.04.22 09:24オ・タン・ジャディス×オルランド3年間つづいたこの連載も、最終回。締めは渋谷のエノテカ「オルランド」の小串貴昌さん、ご本人も爽やかに登場です。「料理の写真を撮る時点で、飲食人として負け。」「自分の頭で記憶したものしか、引き出しにならない。」真似とオリジナリティ、世界観の作り方。これからお店を持ちたい人にも読んでほしい言葉が溢れています。メトロミニッツ読者のみなさん、ご愛読ありがとうございました。
2019.03.22 06:52「茶禅華×四川飯店」メトロミニッツ 2019.3.20幼稚園児のときに「中国料理人になる」と決めた川田智也シェフ。故郷の栃木県は、日本最古の学校「足利学校」があり、儒学を学んでいたことから中国との縁が深い土地。シェフもまた英語より漢字の好きな少年でした。高校生になると、料理人は体力が要るからと運動部で身体を鍛え、食べ歩きのために東京通い。彼がシェフを務める「茶禅華」の大活躍は、なるべくしてなったものです。その川田さんが料理人になるきっかけとなった汁あり担々麺を考案し、「料理の鉄人」でわくわくさせられたのが「四川飯店」。前者は初代、後者は二代目、そして今は三代目の時代になっています。川田さんが尊敬する「四川飯店」、彼の視点で見ると、華やかさとはまた違う側面が浮かび上がってきました。余談ですが取材中、川田シェ...
2019.02.20 01:54「呑家 しの × the OPEN BOOK」メトロミニッツ 2019.2.20新宿ゴールデン街の師弟です。田中開さんは、5番街にあるレモンサワー専門バー「the OPEN BOOK」の店主。尊敬するお店は1番街の「呑家 しの」。開店して45年、遊んでいた時代から数えれば、この街で半世紀以上行きている女主人の言葉は圧巻です。田中さんは一時期、この店でアルバイトをしていました。祖父が愛したこの街に子どもの頃から親しんで、「新宿は知らないけど、ゴールデン街なら知ってる」高校生に育ち。実際、27歳の彼は、どこへ行ってもみんなに可愛がられる。本人は「(街の常連だった)おじいちゃん効果」と言うけれど、親や祖父母ほどの人々に敬意を忘れない田中さんの資質です。タイトルは女主人の言葉で書きましたが、田中さんの目線でも一案、考えていました。“「しの...
2019.01.22 04:53「人形町 㐂寿司×ル・キャバレ」メトロミニッツ2019.1.20連載「僕らが尊敬する 昭和のこころ」です。代々木上原「ル・キャバレ」のソムリエ、坪田泰弘さんは、いつかちゃんとお話を訊いてみたいトップ3に入っていた人でした。「祥瑞」時代に一度、ワインについての取材をお願いしましたが、ワイン抜きに一度ぜひと(笑)。いつの時代も、いちばんカッコいい場所で、カッコいい人たちの間を泳ぐように存在している人。でも、どこか土の匂いがするというか、人間臭さを愛する人なんだろうなという予感がしていました。飲食店で何を見て、どういうところを尊敬したら坪田さんになるのだろう?そんな興味で訊いてみれば、答えは「人形町 㐂寿司」。古い江戸前の仕事で有名なお鮨の老舗ですが、彼はやっぱり人や空気を見ていました。意外にも、フランスつながり。
2018.12.21 05:59「日登美×翏」メトロミニッツ 2018.12.20連載「僕らが尊敬する 昭和のこころ」は、「日本酒とうなぎ 翏(りょう)」店主・村田翏さんが尊敬する「コクテル 日登美」です。最寄りは新井薬師前駅で、それでも10分少々。やっと着いてもスナックって書いてあるし、その看板が消えているし、控えめに言って今にも崩れそうな長屋にあるしで、正直、初めは「え、ここ?」とひるみました。しかし、私は村田翏さんの味覚や、食べものに限らず嗅覚のようなものを全面的に信用しています。えい!と中に入ったら、映画のような情景がありました。笑っちゃうほどおいしいカクテル、飄々としているのにすごい伝説を持つマスター、「ダイアナ」無限ループの壊れたジュークボックス。翏さんは海外在住の友人に連れてきてもらったそうですが、このハードボイルドな...
2018.11.21 07:42「モンブラン×コーヒーハウスニシヤ」メトロミニッツ 2018.11.20イタリア式のバールで、あえての「コーヒーハウスニシヤ」という昭和っぽい名前。バリスタの西谷恭兵さんは素晴しくエレガントなcaffeを淹れますが、サービスのプロでもあり、じつは子どもの頃からパティシエを目指していた人でした。今、彼のお店で文字通り「飛ぶように」ドルチェが売れて行くのも納得です。連載「昭和のこころ」。西谷さんが尊敬するのは、1年だけ修業した自由が丘「モンブラン」。優しいモンブランの味はもちろん、画家・東郷青児によるお菓子のパッケージや、サロンの壁や床の質感、ゆったりした空気感に昭和の余裕を感じます。西谷さんは今でも月に1回ペースでケーキを食べに行くそうです。親は、ずっと親なんですね。
2018.10.21 02:00「鮨 やじま×サーモン&トラウト」メトロミニッツ 2018.10.20「サーモン&トラウト」が下北沢のはずれ辺りに現れて4年。シェフの森枝幹(もりえだ・かん)さんはなんだか自由で、自転車でちょっと渋谷に行ってくる、みたいな感じでインドネシアやタイのジャングルにメキシコに、地球の隅までひょいっと行って何か食べています。ガストロノミーも部族の料理も同じように。で、自分の店では時に、カメやセミも料理する。だけど奇をてらうと言うよりも、それらの先にはいつも本質的なものが見えている、という印象の料理人でした。だから、森枝さんが尊敬しているのはどういうお店だろう? とずっと気になっていたんです。メトロミニッツの連載「昭和のこころ」で教えてくれたのは、「鮨 やじま」。渋谷で37年のお鮨屋です。「僕は〝端〟のことばかりやっていて、この店...
2018.09.20 11:01七面×sakeria 酒坊主 メトロミニッツ 2008.9.20奇しくも本日発売の『変わらない店 僕らが尊敬する昭和』(河出書房新社)は、この連載を28回までまとめたものです。メトロミニッツ「僕らが尊敬する 昭和のこころ」、まだまだ連載も続いています。今回は、町田っ子だった「sakeria 酒坊主」店主、前田朋さんが、子どもの頃から通い続ける地元のラーメン店。大人の仕事を子どもはちゃんと見ているし、「好き」の正体が何なのか、わからなくても感じているんですね。前田さんは、いい大人を見て育ったんだなぁ。
2018.08.20 08:49「Ogino meets 正直家」メトロミニッツ 2018.8.20メトロミニッツの連載「僕らが尊敬する 昭和のこころ」、今回は、フランス料理店「Ogino(オギノ)」オーナーシェフ、荻野伸也さんが尊敬する、うなぎ・どじょう「正直家」です。コースで頼むと、一品目が出てくるまで二時間半。だって包丁を研ぐところから始まりますから。創業以来48年、ずっとそうしてきたんです。〆たて、割きたて、焼きたて。すべてが「さっきまで生きていた」ものの力、作りたての味。そういう「別の領域」に、荻野さんは行きたいのだそうです。
2018.07.21 01:33「ガルエデン×自家焙煎珈琲ヴェルデ」メトロミニッツ 2018.7.20発行神宮前に「ガルエデン」という店を立ち上げたとき、小林賢三さんは「老舗になる」と決めたそうです。イタリア料理とビッラ・アルティジャナーレ(職人のビール)のお店、というより、気持ちのいいテラスでお昼からビールを飲んだり、顔を見知ると「○○さん、こんばんは!」と迎えられるような温かな店。彼には尊敬する人がいます。毎朝夕に豆を焙煎し、街の人のために珈琲を淹れる「ヴェルデ」店主、宮下晃(ひかる)さん。恵比寿で37年続けている珈琲屋です。宮下さんは、好きなことを仕事にした人。小林さんは、一度好きな仕事をやってみたけれど、その道をやめて飲食の仕事に就いた人。向いていないんじゃないかと悩みながら、でもがんばっちゃうし、やめられない。そういう彼のことを、宮下さんはこう言...
2018.06.20 02:38「モンド×銀座レカン」メトロミニッツ 2018.6.20発行連載「僕らが尊敬する 昭和のこころ」は、1970年以降生まれの料理人やソムリエが尊敬する、昭和の店について語るページ。今月の「僕」は、どこかインディペンデントな匂いのするソムリエ・田村理宏さん(自由が丘「モンド」、代官山「ファロ」)。「昭和の店」は銀座4丁目のフランス料理店「銀座レカン」。彼にとってこの老舗レストランは、大河であり、ザ・ローリング・ストーンズでした。
2018.05.22 07:40「シンシア×一幸庵」メトロミニッツ 2018.5.20発行2016年4月より「メトロミニッツ」(スターツ出版)で連載している、「僕らが尊敬する 昭和のこころ」。著書『昭和の店に惹かれる理由』(ミシマ社)のスピンオフ企画としてスタートしました。本では筆者である私の目線でしたが、連載では、1970年代以降生まれの料理人やソムリエ、バーテンダー、コーヒー店主などの目線で、彼らが尊敬する「昭和の店」を描いています。人真似ではない何かを掴もうとする人は、時流より本質を見ようとします。そんな若き飲食人が、気づけば、昭和から続く店に目を向けていました。彼らにとってそれはノスタルジーでなく「今」。昭和の心意気や哲学は、一周回って新しい価値観です。彼らが、昭和の店に何を見て、どう感じているのか?その言葉を辿ると、飲食店というも...