2021.11.16 01:21「祖餐(そさん)」石井美穂さん食楽の連載「地球は女将で回ってる」。今月は鎌倉の酒場「祖餐(そさん)」の女将、石井美穂さんについて。酒場は人を救う場所だと思っていて、事実、私は救われています。おばあちゃんになっても通える酒場が家の近くに1軒ほしい。「祖餐」は、店主の石井英史さんと妻の美穂さんを中心に、英史さんの母の料理も登場、夫妻の愛息子もお店で遊んでいるような家族的な酒場。彼らいわく、これがホントの〝ファミリーレストラン〟です。この酒場の女将であり、「祖餐」という家の母でもある美穂さんは、お客さんも家族同様に気にかけます。元気ないな、青いもの食べてるのかな?それはやがてお店だけでなく近所の人にも、お付き合いのある業者にも、鎌倉の街にも、世界にも同心円状に広がっていく。そんな彼女の母...
2021.09.28 03:36とんかつ七井戸 今井あゆみさん食楽の連載「地球は女将で回ってる」は、とんかつ七井戸の女将、今井あゆみさんです。さっぱりと、さっくりと、みんなを明るい方へ連れて行く人。こんな人になりたかったの私は。ところで冒頭で書いた、自分の仕事に「よしっ」と頷く人は信頼できる説。私の周りではあゆみさんのほか、かかりつけのお医者さんと、GEM by MOTOの千葉麻里絵さんもその一人。
2021.06.18 03:21「鮨いまむら」今村くるみさんビールが飲みたくなる『食楽』夏号。連載「地球は女将で回ってる」6回目は、「鮨いまむら」の今村くるみさんです。着物姿も美しく、どこかキュートで、しかし芯の強さを感じる物腰。あんなに華があるのに出過ぎない、男前なわきまえ方。ずっと謎だったその正体がわかりました。彼女は女将にしてソムリエールでパティシエール、そして板前という職人。「深く考えないでまず動いちゃう」元気な女の子と、「石橋を叩いても渡らない」真面目すぎる男の子が夫婦になってできた「鮨いまむら」。令和の夫唱婦随について考察してみました。
2020.11.08 02:08「オストゥ」宮根美苗さん連載「地球は女将で回ってる」は、あのウディ・アレンの映画タイトルをもじった……いえオマージュなわけですが、シェフの影になってあまり日が当たらないけれど、お店という地球は女将やマダムによって回されている!ということを証明する連載でもあります。で、第4回は代々木公園のイタリア料理店「オストゥ」のマダム、宮根美苗さん。「地味で細かくて正確な仕事が好き」な彼女は、日陰の存在をむしろ好むような女性。取材を受けてくださるか心配でしたが、いつかぜひ書かせていただきたいマダムでした。いわゆるマダムの華や仕切り回しとは遠いタイプなんですが、世界が微粒子でできているなら、「オストゥ」の微粒子は美苗さんでできている、と感じます。じつは美苗さん、イカワ版〝世界が尊敬する日本人...
2020.09.15 02:11「葡吞」熊坂智美さんこの夏が去年と同じなら、「葡吞(ぶのん)」は、飲食でつながる仲間が世界から集まってきて、夜が深まるほどカオスと化していました。木造2階建ての狭くてキシキシいう階段を、女将の熊坂智美さんはおてんば娘のように着物で駆け上がり、駆け下り。けれど取材は、東京都が2回めの営業短縮要請を出した後。西麻布の街自体が元気を失っているなか、「葡吞」は淡々と店を開けていました。繰り返しますが去年と同じなら、営業前には次々とかかってくる予約の電話を受けながら、その日のメニューを毛筆で書く彼女。今回は静寂のなかで筆をすべらせていて、祈るようなその姿が、神々しくもありました。連載「地球は女将で回ってる」。第3回は「葡吞」の女将、熊坂智美さんです。〈彼女はプロの女将。ソムリエール...
2020.07.08 01:12オルトレヴィーノ 古澤千恵さん連載「地球は女将で回ってる」第2回は、鎌倉のエノガストロノミア「オルトレヴィーノ」のマダム、古澤千恵さん。ヨーロッパの夏の日なたを歩いて、ふと入った教会のように、しんと鎮まる。静謐な写真です。「オルトレヴィーノ」というお店自体がそういう感じなんですけど、それを演出しているのが千恵さんです。お店はイタリアのレストランであり、食材とワイン、雑貨も買える不思議な空間。千恵さんはイタリア専門のアンティーク・コーディネーターでもあります。シェフは、料理とワインを同等に学んできた人。それでも、それだけでは「オルトレヴィーノ」の世界観は完成しない。気配、奥行きいった、料理とワインの「周りにあるもの」が大事なんです。
2020.03.07 03:45「サプライ」小林希美さん新連載が始まりました。「地球は女将で回ってる」@食楽。レストラン取材では多くがシェフが主役。しかしシェフを支える、あるいは伴走する、場合によっては手のひらでコロコロする女将こそ真の支柱。昭和の店だって、女将の目配り気配りが行き届いたお店は繁盛するし長く続く。令和の今、割烹着と着物からダブダブのTシャツとブカパンツにユニフォームは変わっても、女将の存在意義は通じるものがあります。という思いで始まった連載を、写真家の大森克己さんと編集者の中川節子さん、尊敬するチームでできる幸福。タイトルはウディ・アレンの映画から。本文も「神はともかく、女性は存在する。天国じゃなくてこの世にいる」という彼の言葉から始まります。第1回は、もしこの連載が実現できたら最初にお願い...
2019.09.26 04:54祖餐 so san 「食楽」平成に「昭和の名酒場」と言われる店が愛されたように、令和の時代、「平成の名酒場」となる店がきっとあるはず。イカワさん、思い浮かぶお店はありますか?編集部からのうれしい質問に、心あたりがありすぎて、挙げすぎて、書けるのは一軒だけですと笑われました。その一軒が「祖餐 so san」です。あの名著といえるお品書きへの考察を楽しく書いていたら、気づけばお品書きの話だけで文字数の3分の1を使っていたのだけれど、ま、いっか。この伸び伸び放題の原稿を許してくれた編集部と、何より「祖餐」の石井さんご夫妻に感謝です。錚々たる酒場先生たちもご登場。最大公約数ではない、それぞれの偏愛チョイスが最高ですよ。