2025.06.01 11:16オープンマインドな長崎のハトシ/月刊日本橋『月刊日本橋』の連載、今月は長崎です。麦焼酎のフレンドリーな感じは、長崎の人に似ているなぁと。食べ慣れない味を「おいしい」と認めるのは、たやすいことではないけれど、彼らはオープンマインドと好奇心をもって受け入れてきた。だから長崎には万華鏡のように、さまざまな視点の「おいしい」がたくさんあるのだ。ということを、「ハトシ」で考えました。
2025.04.01 04:46東三河の宿場町名物、菜めし田楽/月刊日本橋江戸時代の東三河とは、現在でいえば愛知県・豊川市と豊橋市にわたる豊川流域のあたり。東海道五十三次の34番目の宿場町・吉田宿(現在の東豊橋)を中心に、65軒もの旅籠があり、住人は約7千人という、大変な賑わいだったといいます。この宿場町で、旅人に人気だった「菜めし田楽」がテーマの回です。
2025.02.01 06:26下関・川棚温泉の瓦そば/月刊日本橋あの国民的人気ドラマ番組『逃げるは恥だ役に立つ』(TBS)で観てから、気になって仕方がなかった瓦そば。「瓦」と「そば」の唐突感。なぜ瓦?ビジュアルも想像できないうえ、「茶そばでなければならぬ」と主張する理由がわからない。しばらく頭の中にはびこっていたそれは、忘れた頃に現れた。山口県の日本酒蔵へ取材に行った時、蔵人が案内してくれたのだ。今回は、やっと会えた瓦そば。その、明治の西南戦争まで遡るルーツのお話です。
2025.01.03 06:38「能登のこえ」を伝える料理/月刊日本橋石川県の能登へ、東京から日帰りで行けるんです。東京駅から北陸新幹線で金沢駅まで2時間半、そこからレンタカーで1時間。ゆっくりランチをして、帰れる移動時間です。なんとなく、今行ってもいいのだろうか?と考えていたけれど、それこそ風評被害。能登のお店の人たちは、むしろ来てほしいと願っていました。私が参加したのは、オーベルジュ「Villa della pace(ヴィラ デラ パーチェ)」で行われた『NOTO NO KOÉ (能登のこえ)vol.2』というイベント。オーナーシェフの平田明珠さん、能登に魅了された東京・銀座「エスキス」シェフのリオネル・ベカさん、能登で育った「ラトリエ ドゥ NOTO」シェフの池端隼也さん。3人のシェフたちが綴る能登の秋の味。東京に...
2024.11.10 02:11弘前のお漬け物は野菜料理/月刊日本橋トピナンブールという、イタリアやフランスのレストランではエレガントなスープで供される野菜が、弘前の市場で漬け物になっていた、という衝撃の思い出から始まる今回。雪深い弘前の、漬物文化は素晴らしい。やはり食文化は創意工夫の結集です。ちなみにトピナンブールって、菊芋のことなんです。
2024.09.30 23:38鉄輪温泉、おいしい地獄今月も可愛い水森亜土さんの表紙。『月刊日本橋』の連載は、別府温泉がテーマです。いつも気軽に「別府温泉」と呼んでいた大分県の有名温泉地が、じつは「別府八湯」という正式名称だということをご存知でしたか?私は知りませんでした。名の通り8つの温泉郷を持つことも、昨年訪れて初めて知ったんです。その八湯の一つが鉄輪(かんなわ)温泉。別府といえば思い出す、いくつもの噴煙が地中から吹き出す光景は、ここ鉄輪のものです。地獄さながら、ということで昔から「地獄」と呼ばれてきましたが、鉄輪の人はなんだかおもしろがるように「地獄」を連発します。「ようこそ地獄へ」に始まり、「地獄プリン」「地獄蒸し肉まん」「地獄蒸しピザ」……。つまりは温泉の熱くて強い蒸気で作る蒸し料理がおいしいん...
2024.09.02 04:32奈良・天に近い村の鮎『月刊日本橋』の連載・道の先に食あり。今月は奈良の山の中、いや山の上にある「天川村」で食べた鮎のお話です。昨年の取材で訪れた場所ですが、ここではスピンオフ的なお話を。霊験あらたかな山の温泉街で、修験者が身体をあたためるのだといいます。ちょうどお豆腐屋で修行の帰りだという修験者たちに合ったら、水が良いからお豆腐がおいしいと教えてくれました。修行を終えて彼らはまず、中華料理をおなかいっぱい食べたのだそうです。思い出してもちょっと不思議な、夢だったのかな?と思うような村でした。
2024.07.01 06:31小豆島の、亀じゃない亀の手いつの間にか、水森亜土さんの可愛いイラストが表紙になっている『月刊日本橋』。連載エッセイ「道の先に食あり」第19回は小豆島。すでに閉店してしまった食堂で食べた、亀の手の思い出です。小豆島は、ちょっとガラパゴス的な匂いがするんですよね(個人のイメージです)。江戸時代からつづく醤油、そうめん、全国でも早かった明治時代からの和牛の肥育。オリーブ、米、日本酒。あまり関連性を見いだせないラインナップは、個性のパッチワークのよう。そんな小豆島で、これまた「亀の手」とか「ダメ貝」というガラパゴス的な食べものと出会いました。巻き貝の身を取り出す時、爪楊枝でなく、針山に差したまち針を使うのも衝撃的。
2024.06.03 05:42富山の人の昆布愛表紙の可愛いイラストは、水森亜土さん!キュートに満ちていますね。連載「道の先に食あり」、今回は富山の人の昆布愛がテーマです。北海道を出た北前船は、寄港した各地にさまざまな食文化を伝えていきましたが、富山の昆布文化は格別な根づきようです。風土や人の気質に、カチッと噛み合ったのでしょうね。私が富山出張で出会った、ただならぬ昆布愛のエピソードを書いています。ただ、現在は海の変化によって日本近海の天然昆布が激減、多くの品種で消滅の危機も指摘されています。昆布屋の職人も数えるほど。昆布の味を未来につなげられるよう、今、私たち日本人が、なんとかしなければなりませんね。
2024.05.01 00:36函館、イカ塩辛への偏愛函館の市場で、驚くべきバリエーションを展開するイカの塩辛コーナーを見つけた。イカの塩辛って一つじゃないの?へー!なんて驚くあなたの土地にもあるかもしれない。たとえば秋田のさきいか、青森の筋子、群馬のこんにゃく。そういった、局所的に深堀りしてゆく食の偏愛現象が。地元が誇る食、日常に根づいた「俺たちの宝」だからこそ一人ひとりにこだわりが生まれ、それらのニーズに対応すべく細分化されていった、というのが私の仮説。そんな「豊かさの細分化現象」について書いています。