2024.08.20 09:44蒜山醸造所 つちとみず/僕らの新しいローカリズム蒜山編の第2回は、野生酵母でビールを醸す「蒜山醸造所 つちとみず」です。蒜山の人々から「すぎちゃん」と呼ばれ愛される醸造家は、48歳で公務員からの転身でした。余談ですが、工房の片隅に、親しい友人の名前と正の字が書き込まれたメモを発見。たぶんご近所仲間が、杉さんが留守の時にビールを買い、買った分だけ本数を書き込む自己申告のメモ。おおらかな蒜山の暮らし、いいなぁ。
2024.07.23 00:58清らかな鰻/蒜山 鰻専門店 翏DEAN&DELUCA WEB「僕らの新しいローカリズム」、第2弾「蒜山(ひるぜん)」編がスタートしました!岡山県の、きわめて鳥取近く。丸い山にさまざまな樹木が茂り、川が川のままに蛇行して流れる、地元の人が「なんでもない」と言う里山です。ここに、しかし、とてつもなく魅力的な人々が集まり始めたのが気になっていました。自然栽培の生産者、豆腐職人、チーズ職人、ビール醸造家、料理家、金工作家に陶芸家、そして鰻職人も。彼らのローカリズムを、今月から6回(月1回満月更新)にわたってお伝えします。第1回は「蒜山 鰻専門店 翏(りょう)」。2013年に中目黒でオープンしたときから、店主の村田翏さんはインディペンデントな鰻職人でした。元バンドマンですが、鰻専門店...
2024.06.28 02:51自由が尊重される豚/あかり農場DEAN&DELUCAのウェブ連載「僕らの新しいローカリズム」。函館編は、いよいよラストのつくり手を迎えました。養豚の「あかり農場」。泥んこになって遊ぶ豚たちの表情を見てください。彼らは地元の食材から作られる餌を食べ、好きなように動き回って、ゆっくりと育ちます。いずれ人の口に入るけれど、その時まで自由な生を謳歌する。人間でも動物でも、生きとし生けるものにとって自由とは尊厳だと、私は思っています。「あかり農場」の山田さん一家の暮らしぶりを少しですが垣間見て、東京へ帰っても、「満ち足りる」という言葉が頭から離れませんでした。自分の好きなこと、自分に必要なもの、それらの分量がわかっていること。家族が食べるものを家族でまかないながらも、家族だけで完結す...
2024.05.23 02:03“おいしいパン”じゃなくていい/おおば製パン今夜の満月はフラワームーンだそうです。この日に公開された、DEAN&DELUCA WEB『僕らの新しいローカリズム』函館編08は、森町の「おおば製パン」。名の通り森に恵まれた土地で、パン職人の大場隆裕さんは古い製法のパンを焼いています。粉と水を混ぜて寝かせた発酵種を使い、乳酸菌の働きによるフレッシュな酸味が特徴です。不思議なことに、焼きたてよりもむしろ日が経つごとに落ち着いていく、ごはんのようにしみじみとした味わい。大場さんの言葉が印象的でした。「“おいしいパン”じゃなくていいんです。つくりたいのは、ひと口でおいしい!と感じるグルメ的なものではなく、原点のようなパン」彼は「本場そのもの」というよりも、「原点」「自然」「本質」といった場所を目指し...
2024.04.24 23:02幸福な山羊たちのチーズ/山田農場チーズ工房DEAN&DELUCA WEBでの連載「僕らの新しいローカリズム」。函館編の第8回は、山田農場チーズ工房です。山の斜面で山羊や羊を育て、ついにはブドウまで育ててしまっている山田圭介さん、あゆみさん夫妻。お二人を訪ねるのはこれで何度目になるのかな。会うと、いつも気づきをくださる方々です。連載開始にあたり、私たちが函館のつくり手たちによるつながりに注目したのも、圭介さんのひと言がきっかけでした。「僕らはみんなで、一つの食卓をつくっている」きっかけであり、取材を重ねるうえで折りに触れ立ち返る、指針となってくれた言葉でした。もうすぐ5月3日に発売される、DEAN & DELUCA MAGAZINE ISSUE09 でも山田農場チーズ工...
2024.03.26 11:23料理人の感動を、更新し続ける/清和の丘農園DEAN&DELUCAのウェブ連載「僕らの新しいローカリズム」。函館編の第6回は、「清和の丘農園」です。函館のレストラン「コルツ」をはじめ、さまざまな料理人に信頼されている野菜・ハーブ・米の生産者。ちょっと変わり者の山本さんと、やわらかでも芯の強い橋本さん、二人のユニット。彼らの生産物は、つくる人に似ています。函館とその近郊のコミュニテイが輝いているのは、刺激し、尊敬し合える関係があるから。生産者は「シェフが待っている」と畑に立ち、料理人は「どうしてほしい?」と野菜に訊ねる。理屈ではないおいしさが、そこに生まれるのです。
2024.01.26 07:51風土と人を載せたテーブル/コルツ都市が憧れる、地方の食べものづくり。そのうねりを追いかける連載です。『僕らの新しいローカリズム』DEAN&DELUCA WEBサイト〈Enjoy Good Food〉。函館04は、函館の食べものづくりのつながり、その真ん中にいるレストラン「コルツ」です。シェフの佐藤雄也さんは20年前から函館で、素材や生産者と向き合ってきた人。彼と出会ったのは2002年のイタリア、アルバという小さな街でした。本場で修業し、東京で一旗揚げるのがセオリーだった時代、佐藤さんははっきりこう答えたんです。「僕は函館で、料理を作って〝生活〟を築きたい」それが自分にとってこのうえないことだと、「わかりきっている」とも言いました。言葉通り2003年に開業して、函館で20年。も...
2023.12.27 01:08函館03 土地と人、暮らしの中から生まれるものDEAN&DELUCAのweb連載「僕らの新しいローカリズム」函館編は、毎月満月にアップです。第3回は移住組。かつて目黒に焼き菓子工房を構えていた「もりかげ商店」と、山林を開墾するところから始めた野菜のつくり手「nonomama」の物語です。写真は伊藤徹也さん。函館の透明な光が映ってます。
2023.11.28 03:02道南エリア、食べものづくりの交差点/カフェ・ウォーターDEAN&DELUCA WEBサイト〈Enjoy Good Food〉の連載『僕らの新しいローカリズム』。函館編02は、「cafe water(カフェ・ウォーター)」です。長崎・雲仙「BEARD(ビアード)」オーナーシェフの原川慎一郎さんが手がけ、現場は中村由紀子さんが一人でまかなうカフェ。原川さんは、日本とその食に危機感を持って都市(東京)から地方(長崎)へと移り、地方から発信することを選びました。函館の「cafe water」は、2つめの拠点、ということです。なぜ、彼は地方を目指すのか。「危機感」の正体とは何か。そして、どうして函館だったのか?私は原川さんを「料理人という活動家」だと感じていますが、その活動は、私たちに大事なことを伝えてくれ...
2023.10.27 00:48新連載はじまります。 DEAN AND DELUCAマガジンとウェブ松浦弥太郎さんが編集されているDEAN & DELUCAのマガジン08号(10月31日発売)とWEBで、新しく連載が始まりました。美しい写真が満載で、ずっと本棚にいてほしマガジンはゴム綴じというユニークなつくり。気に入りのページを抜いて飾ることもできるし、各号を綴じて一冊にすることもできる。現代アートとしての価値というか、紙媒体としての可能性にときめきました。話を連載に戻しますね。ゼロから何かをつくりたい人は、動画を逆回しするみたいに完成品から遡って、最終的に土の上という最初の地点=ゼロ地点に立つのだなぁとぼんやり感じたのが10年くらい前。当時、彼らはまだ一つの「点」として存在し、周りの理解を得られないまま孤軍奮闘していました。あれから10年。...