もりかげ商店のチーズプリン

卵と牛乳がクリームになってしまうカスタードは、どこか童話的な食べものです。

単純。だからこそ永遠に記憶の片隅にいて、不意に現れては大の大人を一瞬に子どもへ戻してしまう、魔法のような。

BRUTUSの「なにしろカスタード好きなもので。」で、もりかげ商店のチーズプリンを書いています。目黒の古い長屋でときどき店を開けるもりかげ商店と、ゆっくりと静かな喋り方の(印象に反してひょろりと背の高い)森影里美さんは、私に言わせればそれ自体がファンタジー。

いつもかりんとうやレーズンサンドなどが並ぶこの焼き菓子屋に、新しく登場したチーズプリンは、彼女が子どもの頃に大好きだった商店街のケーキ屋の味。

その物語も、北海道・室蘭という言葉の響きさえもきゅんきゅんしてしまいますが、何よりチーズプリンの味がもうね。