山の名人たちが採る天然山菜

ご高齢でも元気に、まるで庭のように山を巡る名人たち。今回は北秋田の豊かな山から、採りたての山菜を届けてくれる「あきた森の宅配便」のお話です。

ポチッとすればすぐ届く通信販売ではなく、注文すると、山の名人がしかるべき時を見計らって山に入り、旬の山菜をすぐに送ってくれる。自分の代わりに名人が採りに行ってくれるような「代行」システムです。

本当においしい時季を狙えるうえ、鮮度抜群、何よりむやみに森を荒らさない。その発想も素晴らしいのですが、今回声を大にして言いたかったのは、「年配の方々の能力は宝だ」ということ。

山に詳しく、ルートも時季も天候もインプットされている。状況に合わせて体が動く。

山菜採り名人だけでなく、東京の飲食店にもそれはいえる。蕎麦屋や定食屋で年配の女性が給仕していると、お客の「醤油かソースか迷っている目線」をすぐさまキャッチして「お醤油のほうがおいしいですよ」なんて言葉がすっと出てきたり。

まったく余計なひと言かもしれないけれど、うれしくなりませんか?

人と人とが近い時代に生きてきた人のコミュニケーション能力はとても高い。

そして、それに気づくのは彼らの子どもでなく、孫世代の若い人たちです。