月刊日本橋「食の源をたどれば」題23回は、丸正酢醸造元。
常々、日本酒蔵は神社に通じていると思っていたけれど、お酢の蔵もまた然りでした。
世界遺産の熊野古道を有する那智勝浦で、明治12年から酢造りをしている丸正酢醸造元。
仕込み水は、滝自体が神社の御神体である那智滝の伏流水。という霊験あらたかなお酢の蔵ですが、三代目の小坂晴次さんは豪快、愉快なお人柄。
木桶に「羽黒山」「双葉山」など歴代横綱の名をつけて呼び、「彼ら」に法螺貝を、ブオオ〜っと聴かせていました。
今回、エッセイを書くにあたり連絡をすると、小坂さんは2019年に93歳で他界されていました。でも、最後の挨拶を生前に自身で録音し、BGMまで決め、お通夜もお葬式も自己プロデュースされたそうです。
あの笑顔と、痛快な語り口を思い出しながら書きました。
現在は娘の和子さんが4代目を継いでいて、父と母の味を変えずに守っています。
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