愛とは何か／秋田魁新報

ほぼ毎日、珈琲を淹れながら、膨らみゆく豆の表情を見ては気をよくしたり、ちぇ、とがっかりしたりしている。 もちろん豆の種類やその日の気候による微妙な違いは承知しているものの、たとえ昨日と同じ豆を同じく挽いて、同じやかんで湯を沸かし、いつものリズムで注いでもなお、私の珈琲は浮き沈みが大きい。 冴えない日は、焙煎師にも、産地エチオピアの農園で働く人々にも謝りたくなる。何より力を出しきれずカスとなった珈琲豆は、さぞ無念だろう。 「私には愛がないんだな」 ふと呟いて、はっとした。 いや、愛はあるはずだ。好きだから毎日飲んでいるわけだし、上手に淹れたい気持ちも満々。 じゃあ、愛じゃなくて技術がな