2018.11.30 10:13「みんなの町鮨」始まりました。@web dancyu今日から、新しい連載が始まりました。タイトルは「みんなの町鮨」です。ローカルな、みんなが普通に暮らす町のお鮨屋の話を書きたいなと思って、構想5年。『昭和の店に惹かれる理由』(ミシマ社)のために昭和の店をパトロール中、商店街の昭和っぽいお鮨屋を見て、私の地元・秋田にあった町鮨のことを思い出しました。私が住む町は海の近くで、町鮨は日常だったんです。大人も子どもも決まった町鮨へ行く。ウイスキーがカッコよかった時代、お父さんはダルマをボトルキープしていて、子どもたちはテレビの欽ちゃんにゲラゲラ笑いながら好きなものを注文する。弟はうに、いくら、えびのリフレインで、私は筋子巻きと納豆巻きとしそ巻きでした。3ヵ月後の予約を楽しみに行くお鮨屋と、カーディガン引っ掛けて...
2018.11.21 07:42「モンブラン×コーヒーハウスニシヤ」メトロミニッツ 2018.11.20イタリア式のバールで、あえての「コーヒーハウスニシヤ」という昭和っぽい名前。バリスタの西谷恭兵さんは素晴しくエレガントなcaffeを淹れますが、サービスのプロでもあり、じつは子どもの頃からパティシエを目指していた人でした。今、彼のお店で文字通り「飛ぶように」ドルチェが売れて行くのも納得です。連載「昭和のこころ」。西谷さんが尊敬するのは、1年だけ修業した自由が丘「モンブラン」。優しいモンブランの味はもちろん、画家・東郷青児によるお菓子のパッケージや、サロンの壁や床の質感、ゆったりした空気感に昭和の余裕を感じます。西谷さんは今でも月に1回ペースでケーキを食べに行くそうです。親は、ずっと親なんですね。
2018.11.17 04:32心が動けば 2018.11.10「天の戸」の森谷康市さんと、「高清水」の加藤均さん。地元秋田でも滅多に拝めない、夢のような顔合わせのトークショーが東京で実現すると聞けば、どんな締め切りに目をつむっても駆けつけないわけにはいかない。 森谷さんは以前、「産地という強さ」と題した回でこのコラムにもご登場いただいた、半径5キロの酒造りを実践する浅舞酒造(横手市)の杜氏。 加藤さんは秋田酒類製造・御所野蔵(秋田市)の杜氏で、今年の全国新酒鑑評会では15年年連続金賞という、史上初の偉業を成した。 お二人は、ジャーナリストや飲食酒店主、ライバルであるはずの同業者など、日本酒の玄人から尊敬を集めている杜氏だ。 しかし、である。そういういぶし銀な両杜氏が登壇されるのが、「発酵食...
2018.11.08 07:11「ラ・トラットリアッチャ」料理通信 2018.11.6連載・新米オーナーズ・ストーリーは、イタリアで16年暮らしたシェフのトラットリアです。個人的に、パッパ・アル・ポモドーロはメニューにあると必ず頼む好物。このお店の味は、おいしい+なんとも落ち着きました。もともとシンプルな料理ですが、ちゃんとシンプルに、でも勘所を抑えていらっしゃるのだと思います。でも「シンプル」って、取材すると誰もが言うけど、それぞれのシンプルがあるんですよね。同じく「イタリア人が食べておいしいと言ってくれる料理」も頻出ワード、とくにトラットリアでは多くのシェフがそこを目指します。「ラ・トラットリアッチャ」河合シェフの場合は、「おいしい」を通り越して「ほっとしてしまう」味だなと思いました。そこに16年の年月がある気がします。
2018.11.06 03:00「土家」dancyu 2018.11.6連載「東京で十年。」は第55回、東村山の日本料理と蕎麦「土家」です。9年前、私はこの店の取材のために初めて東村山という駅に降りました。「土家」に向かう道は東京というより、私の故郷・秋田のほうにむしろ近い静けさです。小川のほとりに建つ木造一軒家は、テーブル席から小さな庭も見えて「夏休みみたいだなぁ」と呟いたことを憶えています。このとき、「屋守(おくのかみ)」という日本酒が、東村山の地酒であると知りました。都心も東京だけど、ここも東京。店主の土屋さん夫妻が、大家にも忘れられていた築90年以上の木造一軒家を丁寧に手入れし、静かに育ててきたお店です。写真家・長野陽一さんの写真を見たとき、「建物が笑っている」と感じました。