2020.02.29 02:02意味は、あります 2020.2.22 昨年の初め、重い腰を上げてジムに通った。「仕事でおいしいものを食べられるなんていいね」とよく言われるけど、自分でも本当にラッキーだと思うけど、ツケは必ずやってくる。 すると、人はどうするか。体重計に載らなくなり、美容院でも鏡を見なくなる。徹底して現実から目を背けるのである。ぽっちゃりしている方がイカワさんらしいという、変な認め方も次第に心地よくなっていく。 しかし一昨年の年末に何十年かぶりで秋田の友人と再会したとき、彼女たちは懐かしがるより先に大笑いし、開口一番。「あれー、イカワ丸い!」 なんと! やっぱりそうか、そうだよね、大きくなったよね私。子どもみたいに正直な人たちだから全然傷などつかず、むしろ屈託のなさに心から感謝した。だって、あやうく裸の王...
2020.02.12 03:37ダル バローネまさか中川英樹さんを、東京で取材するとは思っていなかったなぁ。2003年に上梓した『イタリアに行ってコックになる』(柴田書店)から始まって、2015年の『シェフを「つづける」ということ』(ミシマ社)、現在まで彼がどう生きるのかを見守ってきました。中川さんはイタリアで料理を始めたので、イタリアのイタリア料理しか知らない、それが強み。2002年の初取材から数えれば18年、最後はリストランテのシェフを務めるまでに成長した彼の料理は、子どもが成人したみたいにたくましくなっていました。奥沢という静かな街に開店した「ダル バローネ」は、イタリアワインを愛し、「オステリア・スプレンディド」で修業した鳥山真吾さんがオーナー。社会経験を積んだ鳥山さんと、イタリア経験を積...
2020.02.10 03:36とりいちときんつぎ「荒木町きんつぎ」は、30代の男子二人による和食と日本酒の店。2018年に開店したばかりなのに、すでに荒木町の超人気店です。店主の佐藤正規さんは、活躍するOBが多い学芸大学の居酒屋「件(くだん)」出身。当時から意識が高く、礼儀正しく、「この人はいいお店をつくりそうだな」と思わせる雰囲気の人でした。修業中から、開業資金を貯めるため昼はレンタカー、夜は焼き鳥屋で働き、移動距離も最短にして「起きている間はずっと時給が発生する」サイクルで生活。その後日本酒の販売店、居酒屋と意識的に「学ぶこと」を選んで修業を積んだ人です。彼は、ほかの店のどんなところを見ているのか?興味津々で訊ねると、西大井という駅にある「とりいち」の名前が挙がりました。一見、本当になんの変哲も...
2020.02.07 00:02ルカンケ取材時は、ドラマ「グラン・メゾン東京」の放映真っ最中でした。こういう職場ものって、多くは本職の人に「リアルじゃない」とダメ出しされそうなものですが、このドラマはどの取材現場に行っても「わかるー!」とシェフたちが心酔していたのがおもしろかったです。今回の「東京で十年。」は白金台の「ルカンケ」。古屋壮一シェフもまたドラマに大きく共感していた一人です。シェフいわく、「フランス料理界で、一九七〇年代半ばに生まれた料理人は最後の叩き上げ世代」。古屋さんは1975年生まれ。その前後を境に、料理人としての育ち方も、考え方も大きく変わると現場で実感するそうです。いい、悪いでなく「違う」という意味で。それ以後の世代には彼らの強みがあり、しかし自分たちには自分たちの、叩き...