2020.08.18 01:39洋服と洋食と。100年つづく仕事の秘密。「ミナ ペルホネン」デザイナーの皆川明さんと、100年つづく仕事について対談しました。皆川さんはご著書『生きる はたらく つくる』(つるとはな)を、私もまた『東京の美しい洋食屋』(エクスナレッジ)を、ほぼ同時期に出版したばかり。とはいえ、皆川さんは創業25周年を迎え、展覧会「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」を、昨年の東京都現代美術館に続き、兵庫県立美術館にて開催中(11月8日まで)という忙しさ。普段、お会いできる機会などなさそうなんですけど、BRUTUSが実現してくれました。あと、広報の方がたまたま『不肖の娘でも』(リトルドロップス)を読んでくださっていたという、レア中のレアな偶然!売ってくださった書店さんありがとうございます。洋服と洋食、一見交わら...
2020.08.11 07:15鮨 いまむら「鮨 いまむら」は、人気店でありながらあまりメディアには顔を出さないお店です。その理由が「恥ずかしい」だったことが今回わかりました。くわしくは本誌でご覧いただくとして、店主の今井健太朗さんは、話しながらもだんだん後ずさりするような謙虚さをもつ職人。本誌で書ききれなかったエピソードがいくつかあります。一度、西麻布「鮨 真(しん)」に弟子入りしたいと考えた今村さん。すでに30歳を過ぎていたけれど、親方・鈴木真太郎さんの背中を、同じ空間に立って見てみたい。ちょうど新人を募集していると聞きつけて、「食べに行って食後にお願いする作戦」を考えました。もちろん、それまで何度も食べに行っていますが、弟子入りを申し込むとなるとド緊張です。開店前から「鮨 真」の近所の喫茶...
2020.08.03 02:47デパートの大食堂 2020.8.1「え、オムライスが二千円もするの! 洋食ってこんなに高かったっけ?」ある編集者と洋食屋へ行ったとき、彼女は明らかにうろたえた。彼女が知っているのは、卓上のケチャップを自分でかける八百円のオムライス。それも正しい。でも、二千円のほうだって誠に由緒正しいのだ。洋食は、西洋料理を起源としている。明治時代は皇族、華族、政治家、軍人らが外交として嗜(たしな)み、場所も外国航路の船や宮内省御用達の店などに限られた。そこで修業した料理人が街場へ散らばることになるのだが、今度のお客は一般の日本人。なんでも「ごはん」に合う合わないが基準、という人々のために西洋料理はチューニングされ、日本独自の洋食が生まれた。同時に、庶民へと広がる過程で枝分かれもした。冒頭の洋食屋は西洋...
2020.08.01 01:47補償なき自粛要請 飲食店主34人の「正解」とは 朝日新聞デジタルnoteでの「#何が正解なのかわからない」の活動を朝日新聞が注目してくれて、インタビューを受けました。初めてお会いする新聞記者は、noteを読んで驚いたのだそうです。「僕ら新聞が取材する飲食店は、企業系だからなのか?その経営者たちの多くは、人件費を削り雇用を切っていく。でも、イカワさんのnoteで取り上げている個人店の店主たちは全員、まずは雇用を守り、金額の大小はあるにせよ給料を払いたいという。驚きました。この違いは何なのだろう?と。大きな企業だって、もともとは小さな店から出発しているわけで、どこかで何かの別れ道に行き当たってしまうのでしょうか」記者の疑問は私にとってむしろ新鮮で、あらためて多くのことに気づかされました。私なりの答もいちおう、出しました...