2019.01.22 04:53「人形町 㐂寿司×ル・キャバレ」メトロミニッツ2019.1.20連載「僕らが尊敬する 昭和のこころ」です。代々木上原「ル・キャバレ」のソムリエ、坪田泰弘さんは、いつかちゃんとお話を訊いてみたいトップ3に入っていた人でした。「祥瑞」時代に一度、ワインについての取材をお願いしましたが、ワイン抜きに一度ぜひと(笑)。いつの時代も、いちばんカッコいい場所で、カッコいい人たちの間を泳ぐように存在している人。でも、どこか土の匂いがするというか、人間臭さを愛する人なんだろうなという予感がしていました。飲食店で何を見て、どういうところを尊敬したら坪田さんになるのだろう?そんな興味で訊いてみれば、答えは「人形町 㐂寿司」。古い江戸前の仕事で有名なお鮨の老舗ですが、彼はやっぱり人や空気を見ていました。意外にも、フランスつながり。
2019.01.19 04:04西荻窪の町鮨「にぎにぎ一」dancyu webdancyuのウェブサイトにて、昨年末から始まった新連載「みんなの町鮨」。第一貫は私の好きな町鮨を紹介しましたが、第二貫からは町のお鮨を愛する人々に、いよいよ私を連れてってもらいます。今回の案内人は、料理家の瀬尾幸子さん。ひとりでふらっと訪れる、西荻窪の立ち食い鮨「にぎにぎ一(いち)」です。瀬尾さんとの関係は本文を読んでいただくとして、実は、にぎにぎに連れてってもらったのは今回が2回目でした。数年前、私は瀬尾さんのご著書『これでいいのだ!瀬尾ごはん 台所まわりの哲学』(筑摩書房)を、編集者と3人4脚でつくっていました。瀬尾さんのお話を私が訊いて書き起こし、瀬尾さんが料理を作り、編集者がまとめていく。この作業をひたすら続けたある日の夕方、3人で「にぎにぎ...
2019.01.12 04:16生魚と町鮨 2019.1.5 先日取材した江戸前鮨の三代目が、突然「19歳まで生魚を食べられなかった」と告白した。誰かが握ったお鮨は信用できない。でも今は大好物。なぜなら自分が握っているから、という冗談のような実話である。 信用できない。つまり加熱していない魚が、自分の身体に何か嫌なことを起こしそうだ、と察知できたのだ。 そんな風に子どもは本能に素直で、だからこそ疑い深く、根拠が無くても的を射られるアンテナを持つ。 じつは私もまた、生魚が苦手な子どもだった。せっかく秋田の地元のお鮨屋に行っても、何でも好きなものを頼んでよしと言われても、「梅しそ巻き、納豆巻き、筋子巻き」の巻き物無限ループ。 生魚嫌いに加えて、海苔好きだったせいもある。 母のいない間に家じゅうの海苔を食べ尽くしてし...
2019.01.08 01:30「梅香」dancyu 2019.1.62019年明けたての、dancyu連載「東京で十年。」は、牛込神楽坂の四川料理店「梅香(めいしゃん)」です。梅の香り、新年にふさわしい響きですね。牛込はかつて武士が住んだ町。そこへ10年前の2008年、姉妹で営む可憐な名前のお店が誕生したわけですが、店主で料理人の姉は「一度決めたら、迷わない」。どことなく、やっぱり武士っぽい主です。彼女たちのお店へ行くと元気になる、と誰もが口を揃えます。私が「梅香」を初めて取材したのは9年前ですが、今再び取材してみて、それは当然のことなのだとわかりました。自然の理、宇宙の法則です。写真家・長野陽一さんが、「鍋の中の宇宙」を見事に撮ってくれています。
2019.01.07 02:58「荒木町 きんつぎ」料理通信 2019.1.6毎年恒例の新年お菓子特集、今年はめちゃめちゃラブリーな表紙の『料理通信』。が、連載・新米オーナーズ・ストーリーは運動部出身、男子二人の和食店「荒木町 きんつぎ」です。二人とも、学芸大学の居酒屋「件(くだん)」出身。ここの卒業生は、三軒茶屋「鈴しろ」、大井町「木の花」、そして神泉「日和」などみんな大活躍されています。「件」店主の川辺さんは、人を育てて伸ばすのがきっと上手いに違いないのですが、自身もまた彼らと一緒に今も成長期という「長男」みたいな存在なんですね。ともあれ「荒木町 きんつぎ」もまた、開店早々から満席続き。彼らは実に清々しい。その気持ちよさが、店の隅々にまで行き渡っています。この日本で、よくこのように育ってくれたと、なぜか感謝してしまいました。