2021.11.29 01:2128年目の冷蔵冷凍庫 1、2年ほど前から冷蔵冷凍庫の運転音が大きくなってきたと気づいてはいたが、このところとくにひどい。 ジージーからガーガーへ転調し、こちらが必死に聞こえないふりをしていると、そうはさせまいとでも言うようにギギギギギにキーを上げて訴えかけてくる。 狭いわが家では台所脇の1畳くらいのスペースが私の仕事場なので、この原稿もそれに耐えながら書いている。 どうにも気になる。 いや、それ以上に、リモート会議や電話取材などでは私の背後で常に妙な音が響いているのだから、恥ずかしいやら申し訳ないやら。 じつはこの冷蔵冷凍庫、以前このコラムに書いた電気オーブンよりさらに長く、28年も使い続けているのだ。 20代半ば、広告の文章を書く仕事を始めてようやく自分で買った、365...
2021.11.22 05:35心に響く、大人の読書案内。初『クウネル』です。今回の号は、本と映画があれば人生は楽しい!という特集。私は本のほうを担当。「今こそ読みたい、名作リスト 心に響く、大人の読書案内。」で、NHKの「100分 de 名著」にちなみ、長く読み継がれる名作を2つ紹介しています。志賀直哉と横光利一。真逆のタイプですが、じつはどちらもゼミの研究課題でした。
2021.11.16 01:21「祖餐(そさん)」石井美穂さん食楽の連載「地球は女将で回ってる」。今月は鎌倉の酒場「祖餐(そさん)」の女将、石井美穂さんについて。酒場は人を救う場所だと思っていて、事実、私は救われています。おばあちゃんになっても通える酒場が家の近くに1軒ほしい。「祖餐」は、店主の石井英史さんと妻の美穂さんを中心に、英史さんの母の料理も登場、夫妻の愛息子もお店で遊んでいるような家族的な酒場。彼らいわく、これがホントの〝ファミリーレストラン〟です。この酒場の女将であり、「祖餐」という家の母でもある美穂さんは、お客さんも家族同様に気にかけます。元気ないな、青いもの食べてるのかな?それはやがてお店だけでなく近所の人にも、お付き合いのある業者にも、鎌倉の街にも、世界にも同心円状に広がっていく。そんな彼女の母...
2021.11.11 02:57電子書籍、配信スタート(してました)。ミシマ社から刊行された2冊の本が、電子書籍になりました。『シェフを「つづける」ということ』は、2015年の出版から、おかげさまで3刷。いまなお取材先などで「読みました!」と言っていただけることの多い1冊ですが、スマホ派のみなさまにもぜひ。2003年にイタリアで取材した、修業中の日本人コックの「その後」を追った、10年後のドキュメントです。たとえ好きな仕事でも、つづけるって難しい。登場する15人の物語は自分のことでもあり、書いた私も繰り返し噛み締めたくなります。『昭和の店に惹かれる理由』は2017年の刊行で、ダ・ヴィンチの「今月のプラチナ本」に選んでいただきました。ちなみに表紙は星野源さん。10軒のうち、神保町の「スヰートポーヅ」も日本橋の「天ぷらはやし...
2021.11.09 12:41BAR MAQUÓ バルマコdancyu連載「東京で十年。」は、牛込神楽坂のスペインバル「バルマコ」です。酒類提供がようやく許された10月、お店の再開後すぐに取材をお願いしました。バルはお酒を飲む場だから、お酒が出せないなら店を閉める。店主の今村真さんはそう考えてずっと休業していたので、取材ができるかどうかは、要請がどうなるのか?にかかっていました。再開しても、ブレーキを踏みながらゆっくり、少しずつ。人数を抑え、真面目すぎるくらい真面目に感染対策を徹底する、そういう店主だからお客は安心して通えるんですね。慎重だけど、でも、お客の楽しそうな顔を見ながら料理が作れる。心の中では思い切りジャンプしていたみたいです。タイトルの「もう一度高く、JUMPするよ」は今村さんが中学時代から敬愛す...
2021.11.05 01:07飯尾醸造の純米酢遅れましたが、『月刊日本橋』連載、「食の源をたどれば」は飯尾醸造の純米酢でした。京都・宮津を日本のサンセバスチャンに!と目標を掲げたり、自ら「手巻キング」と名乗って手巻き寿司の普及活動にいそしんだり。みんながびっくりするようなことを、大真面目に、楽しく体現する蔵元5代目。その信念は、先々代の「無農薬での米作り」から引き継がれています。
2021.11.05 01:00ラジオ 文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ!』メインディッシュまさか私が「メインディッシュ」になろうとは。ラジオ 文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ!』のメインディッシュコーナーにお邪魔しました。大竹まことさんの、飲食店への愛情。壇蜜さんは本書をしっかりと読みこんで、心に残った一節を紹介してくれました。「本書を読めば、確実に前を向いている人たちがいることがわかります」とのお言葉も、とても心強かったです。放送を聴き逃した方はこちらのYouTube、またはポッドキャストでどうぞ。
2021.11.05 00:54ラジオ NHK第一『三宅民夫のマイあさ!』著者からの手紙ラジオ NHK第一『三宅民夫のマイあさ!』著者からの手紙というコーナーにて、『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』が取り上げられました。聞き逃した方はこちらから、文字で読めます。私も著者として出演し、リ・カーリカ ランドの堤シェフ、麦酒屋るぷりんの西塚さん、鮨 㐂邑の木村さんについて語っています。収録前、三宅アナウンサーが一気に読んだと丁寧に感想を伝えてくれました。飲食業界は大変だと思っていたけど、一つ一つの声を知らなかった。何に苦しみ、どんな事情を抱えていたのか。やっぱり「知る」って偉大なこと。それこそが本書の意義だったのだなぁ、とあらためて感じました。聞いてくださったみなさん、ありがとうございました。