2023.10.31 11:41書評『イタリアの修道院菓子』『イタリアの修道院菓子』(誠文堂新光社)。著者の佐藤礼子さんは料理家なので再現可能に考え抜かれたお菓子のレシピもあるのですが、それ以上に圧倒的な、修道院とお菓子を巡る物語です。信仰の閉ざされた世界と中世の歴史、それをお菓子が紐解くという破壊力。薔薇の名前みたいなミステリーを読み解くように、ぐいぐい惹き込まれました。写真もまたもう一つの言語で語るような、こちらを見据える美しさ。目を逸せないのです。お菓子の佇まい、装丁も。本という物体っていいなと、改めて思いました。ぜひ手にとって、指でページをめくって味わってもらいたいなぁ。読書感想文を、クロワッサンで書いています。#イタリアの修道院菓子 #誠文堂新光社 #佐藤礼子
2023.10.27 00:48新連載はじまります。 DEAN AND DELUCAマガジンとウェブ松浦弥太郎さんが編集されているDEAN & DELUCAのマガジン08号(10月31日発売)とWEBで、新しく連載が始まりました。美しい写真が満載で、ずっと本棚にいてほしマガジンはゴム綴じというユニークなつくり。気に入りのページを抜いて飾ることもできるし、各号を綴じて一冊にすることもできる。現代アートとしての価値というか、紙媒体としての可能性にときめきました。話を連載に戻しますね。ゼロから何かをつくりたい人は、動画を逆回しするみたいに完成品から遡って、最終的に土の上という最初の地点=ゼロ地点に立つのだなぁとぼんやり感じたのが10年くらい前。当時、彼らはまだ一つの「点」として存在し、周りの理解を得られないまま孤軍奮闘していました。あれから10年。...
2023.10.25 05:03落ち鮎と天川村/あまから手帖お鹿さまの悠然たる表紙、これぞ奈良ですよね。関西の『あまから手帖』奈良特集で、天川村のことを書いています。奈良って人の住める土地が日本一少ない、たった23%。あとは山。それも山岳信仰の修験者が目指す、深くて険しい山です。「霊山」とか「秘境」のイメージですね。車のない時代は人間を寄せつけなかった、そういう山の中腹に天川村があります。なぜここへ行ったかというと、鮎の串焼きがあったから。鮎は私の世界一好きな魚だからです。車に乗ってくねくねと登ってみれば、そこは天上の村のような、桃源郷のような、穏やかな温泉街でした。鮎を焼いている人は「亀仙人」と呼ばれていて、水も空気も清らか。今振り返っても、あれは暑い晩夏に見た幻だったのかもしれないと思う、不思議な感覚です。
2023.10.20 07:18スタンドBUCHI 岩倉久恵さん/女将のいる場所『おとなの週末』にて隔月連載中、女将のいる場所。今回は、「スタンドBUCHI」の女将、日本ワインの女将、みんなの女将、岩倉久恵さんです。スポーツウェアが日本一似合う女将でもあります(断言)。大森克己さんの写真が送られてきた時、くくっと笑えて、元気が出ました。かつて神泉で10年、今もなお多くの人の記憶に残る『立喰酒場&坐房 buchi』が、八重洲で復活。解散の日、別れを惜しむスタッフやお客さん100人の前で、「いつか必ず再開します!」と泣きながら交わした約束を、忘れず果たした男前です。新しいお店に、黄色いテープでペタッと貼られた一枚の紙。「祝19才 BUCHI 全てに感謝」こちらこそですよ。追記:こちらで全文読めます。
2023.10.18 08:27エッセイ「中秋の名月」全文 秋田魁新報秋田魁新報のリレー連載、エッセイ「遠い風 近い風」。2023年10月7日掲載、全文がnoteでお読みいただけます。今回は「中秋の名月」をテーマに書きました。月見団子から思い出した、幼少期の記憶。ススキと母と、長女という存在の不条理です。
2023.10.10 02:30フォカッチェリア アルタムーラ dancyu 東京で十年。封筒を開けたら海苔の香りが漂ってきそうだった今月のdancyu。おにぎりは、私が握ると丸になり、弟が握ると球になった。夫も球。サンプル2名ながら、男子はなぜボールなのか、というのが長年の疑問です。昔の大河ドラマで、新潟が舞台の時に白むすびがやはり球。お米の産地だけに、白い球がやたらおいしそうで、おにぎりのおいしさが戦力に貢献したんだろうなと真面目に思います。で、今月号の「東京で十年。」は「Focacceria ALTAMURA(フォカッチェリア アルタムーラ)」。イタリアで「パンの街」と呼ばれるアルタムーラで修業した職人、山本誠さんのお店です。フォカッチャ専門店というニッチな土壌で、十年。店でお客を待つのでなく、「いつでも店を飛び出して、お客のいる場所...
2023.10.10 02:11高知はうつぼ/月刊日本橋「高知はB型が生きやすい!」と叫んだとある編集者の証言から、いやいやA型の酒飲み(私)も生きやすいぞ、との反論。そして初めて食べたうつぼのおいしさ。実はカツオよりうつぼ推しなのでは?と思うほど、高知はうつぼ天国だったお話です。