2020.10.26 14:27秋田のお母さんの味。コロナ禍。どこにも行けない私たちに、誌上で旅する食の本が作られました。旅に出たいむずむずが、読んだらなんかおさまったなぁ。なんて思う不思議なおとりよせ本。エッセイ集のようでもあるこの本に呼んでいただき、「秋田のお母さんの味」を書いています。『不肖の娘でも』にも書きましたが、秋田人にとって秋といえば、「いちじく煮たの」なんです。縁あって海外から秋田に伝わり、続いてきたいちじくの品種が、日本では珍しく加熱しておいしくなる品種だったからです。いちじく煮たの、私ちゃんと作れるんだけど、秋田のいちじくが東京にはないんです。
2020.10.26 01:50kuval (クバル)コロナをきかっけに、今どきの言葉でいうならワークライフバランス、つまり「仕事と生活の調和」を考え始めた料理人は多いです。でも「Kuval(クバル)」のオーナーシェフ、久原(くばる)将太さんと、妻でパティシエールの春香さん夫妻が三鷹という街を選んだのは、コロナ前の昨年末。それまで都心の店で働いていた二人は、初めて三鷹駅に降り立ったとき「緑が多くて、ライフとワークのバランスがいい街だな」と好きになったそうです。今思えば、1月にトイレや家具など発注しておいたのは幸運(輸入が止まる前だったから)、2月から自分たちも参加して内装をしている間に不穏な空気が忍び寄り、営業許可がおりたのは4月、緊急事態宣言当日でした。独立オープンなのに、レストランをオープンできない!...
2020.10.09 07:19「酒の店 笹新」「サンルーカル・バー」今月は、連載「東京で十年。」のほか、特集「真っ当な酒場」も担当しています。特集のほうからいくと、酒場は「酒の店 笹新」。人形町の大衆酒場です。私ごときが懸命に商っているお店に対して「真っ当」と口にするのは、どこか申し訳ない気もしますが、今、みんな何か正しい感じを求めているのかなとも思います。電車でも気を張って、人と会うことも旅も我慢して。やるせない日常が続くからこそ、どこかでそっと、少しだけ息をつきたい。そういうとき、酒場はひとの味方です。「酒の店 笹新」はかつて、大皿もお客さんもぎゅぎゅっと詰まった活気のある店でしたが、今は封印。でも長年通う男性客はゆったりと、満足げに吞んでいました。おしぼりをコースター代わりに敷きウーロンハイ、チェイサーはウーロン...
2020.10.07 05:50J-WAVE TABLESIDE STORY2020年10月5日から5日間、クリス智子さんの番組『GOOD NEIGHBORS』内のコーナー、TABLESIDE STORYにて『東京の美しい洋食屋』の一節が朗読されます。よき声で聴く自分の文章、未知の世界で楽しみ。
2020.10.02 01:04ビヤホール温故知新BRUTUSの鉄板特集『おいしい酒場』シリーズは個人的に全部持っていました。2011年『おいしい酒場』、2014年『もっと! おいしい酒場』、2019年『ますます! おいしい酒場』ときて、さて2020年の第4弾はどうなるんだろう?と、どんどん!(今の気分じゃないか)とか、しみじみ!(BRUTUSっぽくないか)とか、ひそかにぐるぐる想像していたんです。答は『いつでも!おいしい酒場』。この時代でも、だからこそ、酒場はたぶん〝魂に必要なもの〟(©ジャン=マルク・ブリニョさん)。いつでも迎えてくれる、お酒と場所と人。さすが!いい特集名だなと思いました。さて、その素敵な第4弾に、前回に引き続き今回も参加させていただきました。私の担当は「ビヤホール温故知新」。日本...